保険の基礎知識
2022.02.24
将来への貯蓄に 目的別、個人年金保険の選び方
老後の生活費を支えてくれるものとして国民年金や厚生年金などの公的年金の存在があります。しかし、公的年金だけで老後の生活費を十分にまかなえるのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような悩みに、頼りになるのが個人年金保険です。
また、退職してから公的年金の受給が始まる年齢までの間の収入源として個人年金保険を利用もできます。
将来への貯蓄として個人年金保険の利用を考えている方のために、その種類や選び方を解説します。
個人年金保険の種類と選び方
60歳や65歳など、契約時に定めた年齢まで保険料を支払うと、支払い開始年齢に達したあとの一定期間、あるいは生涯にわたり、年金のように毎月保険金を受け取れるのが個人年金保険です。
個人年金保険にはいくつかの種類があります。
年金額の決まり方の分類:定額型か変額型か
個人年金保険は大きく分けて、定額・変額の2種類があります。それぞれの違いを簡単に説明すると、受け取る年金額があらかじめ決まっているのが定額、年金額があらかじめ決まっていないのが変額です。
それぞれの種類と特徴についてもう少し詳しく解説します。
定額型
定額型の個人年金保険では、契約の時点でどれくらいの金額を将来受け取れるかがわかります。その理由は、払い込んだ保険料を保険会社が契約者に代わって積み立て、運用してくれるからです。
大きく増やすことは難しいですが、支払った保険料を将来受け取れる保険金額が下回る、いわゆる元本割れを起こす心配はありません。そのため、保険商品ですが、貯蓄に近い性質を持っています。あらかじめ将来受け取れる金額が決まっているので安心感があり、老後の資産計画が立てやすいのが特徴です。
変額型
変額型では将来受け取れる保険金額が運用結果によって変わるため、事前に受け取れる年金額を知ることはできません。
受け取れる年金額が変わる理由は、変額型個人年金保険では払い込んだ保険料をどのように運用するかを契約者自身が決められるためです。運用方法には国内外の株式や債券などがあり、投資信託に近い面があります。運用成績が良ければその分多くの年金を受け取れますが、反対に運用がうまくいかなければ元本割れを起こす可能性もあることは理解しておきましょう。
保険金が受け取れる期間による分類:終身型か確定型か
定額型・変額型は将来受け取る年金額に着目した分類でしたが、個人年金保険にはもう一つ、保険金が受け取れる期間による分類方法があります。その代表的なものが終身型と確定型です。
終身型
終身型の個人年金保険では、年金の受取人が存命である限り、生涯にわたって年金を受け取れます。公的年金と同じ仕組みなのでイメージしやすいかもしれませんね。
確定型
10年や15年といった、契約時に定められた期間にだけ年金が受け取れるのが確定型です。被保険者が亡くなった場合や、存命であってもあらかじめ定めた期間が過ぎると保険金の支払いは終了します。なお、契約内容によっては仮に決められた期間内に保険金の受取人が死亡しても、遺族が引き続き年金を受け取れる場合もあります。
個人年金保険のメリット
個人年金保険のメリットを3つ紹介します。
- 老後資金を着実に貯蓄できる
- 個人年金保険料の控除が適用される
- 万が一の際には死亡給付金が受け取れる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
老後資金を確保しやすい
個人的な貯蓄だけでも老後の生活費に備えることはできますが、根気と強い目的意識が必要です。しかし、個人年金保険を活用することで、将来の老後資金を貯めやすくなる可能性があります。
その理由は、個人年金保険には以下のような特徴があるからです。
- 保険料はカード決済か口座引き落としで決済されるため、資金が自然と積み立てられる。
- 60歳や65歳など、契約時に定めた一定年齢に達するまで引き出すことができない
個人年金保険を途中で解約すると元本割れする可能性が高いため、よほどのことがない限り解約しないことをおすすめします。そのため、ある程度貯蓄ができるとつい使ってしまうという人には老後資金の貯蓄に個人年金保険が役立つかもしれませんね。
個人年金保険料の控除による節税効果がある
個人年金保険の保険料は、契約内容によっては、個人年金保険料控除の対象となります。個人年金保険控除とは、年間に支払った個人年金保険の保険料をその年の所得から差し引くことで、結果的に住民税・所得税を軽減することができる制度です。
万が一の際には死亡給付金が受け取れる
ここまで説明してきたように個人年金保険は貯蓄や投資信託などに近い商品ではありますが、あくまで保険の一種です。そのため、万が一被保険者が死亡した場合には死亡給付金が受け取れます。ただし、被保険者が年金受給開始前に死亡した場合に限られますので注意しましょう。
個人年金保険のデメリット
個人年金保険は、定額型・変額型それぞれにデメリットがあります。
- 定額型はインフレに弱い
- 変額型は元本割れする可能性もある
デメリットの内容について解説します。
定額型はインフレに弱い
加入時点で将来受け取れる金額が確定するため、安心感がある定額型ですが、将来インフレが進行した場合はこのメリットがデメリットになってしまうことがありえます。
たとえば老後の公的年金の補完として毎月5万円を受け取れる契約を結んだとします。インフレが進行し、必要な生活費が想定よりも大幅に増えてしまったとしても、受け取れるのは契約通りの月5万円から変わりません。そのため、公的年金と個人年金保険を合わせても受け取れる年金額が必要な生活費を下回る可能性もあります。
変額型は元本割れする可能性もある
変額型個人年金保険は定額型と異なり、将来受け取れる保険金の金額が決まっていないことはすでに説明しました。変額型は運用の結果によって保険金額が決まるため、受け取れる金額が納めた保険金の総額を下回る可能性もあります。
加入目的に合わせた個人年金保険の選び方
ここまで個人年金保険を選ぶポイントを解説しましたが、具体的にどの個人年金保険が自分に合うのかまだ迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、もう一つのポイントとして考えていただきたいのが個人年金保険の加入目的です。たとえば
公的年金に加えて個人年金保険で豊かな老後を送りたい
のであれば、公的年金と同じ期間、保険金を受け取れる終身型がおすすめです。
一方で、
退職後、公的年金を受給し始めるまでの収入減少を補いたい
という理由で個人年金保険を検討するのであれば、一定期間だけ保険金が支払われる確定型でも良いでしょう。
まとめ
老後の生活費の柱となる公的年金を補うため、または豊かな老後を送るための手段の一つが個人年金保険です。
個人年金保険には、さまざまな種類があります。特徴をよく理解した上で、ご自身の目的に合った個人年金保険に加入するようにしましょう。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。