著名人・専門家コラム

2024.08.02

保険の入り方~子どもの保険ってどうすればいい?~【住宅FP関根が答える!Vol.110】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。長年、保険の見直し相談をしていると、たまに「子どもの医療保険って必要ですか?」と聞かれることがあります。

医療保険の多くは若いうちから加入していると保険料は安いです。そういったことを踏まえると、できれば子どものころから加入していると保険料は安くなる可能性は高くなります。ただ保険は保険料が安いから加入するということではなく、その保険が被保険者様にとって、必要か必要でないかを考えることが大切です。今回はこの子どもの保険についてお話いたします。

子どもの保険って必要?

子どもが病気や怪我で病院に行くことになっても、健康保険制度は3割負担ですし、また多額の医療費がかかってしまったとしても高額療養費扱いとなります。そして、多くの自治体で医療費助成制度を設けていることが多いです(一部所得制限あり)。

そう考えると、子どもが入院をした場合でも差額ベッド代や家族の交通費、食事代の自己負担額などの諸雑費だけがかかることになるため、民間の医療保険に加入する必要はないという考えもあると思います。

また子どもの入院率の低さからも見ることができます。厚生労働省発表の令和2年患者調査の概況によると年齢別に見た入院患者数は以下のようになっています。

45歳から49歳までの令和2年病院における入院患者数は約3万3600人

55歳から59歳までの入院患者数は約5万2000人

65歳から69歳までの入院患者数は約9万7300人

75歳から79歳までの入院患者数は約15万1800人なのに対し

15歳から19歳までの入院患者数は約6800人、5歳から9歳までの入院数は約3700人と極端に少ないと言えます

そもそも入院数が少ない、そして自治体の公的な保障が手厚いとなると、必ずしも子どもの医療保険は必要ではないのかもしれません。それでも心配でしたら都道府県の共済への加入をお勧めします。共済でしたら比較的保険料を抑えて加入できる可能性がありますし、毎年割戻金も期待できます。

また子どものうちに民間の医療保険に入る必要が無い大きな理由に保険商品の変化があります。例えば入院日数の変化を見てみましょう。

厚生労働省発表の令和2年患者調査の概況によると、1990年に44.9日だった入院日数も2002年には37.9日、2017年には29.3日と短くなっており、医療保険も40日~60日タイプの商品が増えてきました。

※参考:令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/heikin.pdf)

以前の入院は長引く傾向があったため、私がFPになった2004年ころの医療保険といえば120日型、長いものだと180日といった商品が一般的でした。さらに長いものだと365日という保険もありました。時代に合わせて、利用現場が変わっていっています。それに伴い入院保険もどんどん変化していきます

また医療現場における必要な保障も変わってきています。例えばがん保険の変化です。20年ほど前、がん保険における提案は入院日額5千円、診断給付金100万円といった提案が多くありました。しかしこの診断給付金100万円は、一度もらうと特約消滅となり、二度目はもらうことはできませんでした。それが今では、診断給付金が複数回支払われる商品も多くあります。それではなぜ、昔は診断一時金が一度しか支払われなかったのでしょうか。

それは、がんの早期発見における技術の進化です。以前は、早期発見の技術が今よりも低かったため、発見されるとある程度の確率で亡くなってしまいました。そうなると、わざわざ診断給付金を何度も払うという保険は必要なかったということになります。それが今では皆さんが健康診断を受ける時代になり、これからは尿一滴、血液一滴で、がんが分かるようになっていきます。そうなると早期に発見されることが多くなり、入院日数はより短くなります。入院日額、何千円という提案よりも、診断給付金100万円などの提案ががん保険における必要な商品へと変わっていきました。

医療の現場は変わっていき、それに合わせて保険も進化していく関係になっていきます。医療現場の変化するスピードが現在とても速くなっています。子どもに現段階で最新といわれる保険に加入させても、その子どもが老後を迎えるころには非常に古いタイプの保険となっているでしょう。心配でしたら共済に加入して、ある程度の年齢になったタイミングで、その時代にあった保険に加入することをお勧めしたいです。

早いうちに保険に加入しておいた方が良かったといわれることもあるのですが、それはその後、病気になってしまい、保険に加入できないという場合です。ただ、先ほど見ていただいた通り、子どものうちの入院率は低いため、そこまで心配する必要はないと思います。

子どもの医療保険は共済に加入して、その後大人になり、結婚をする、子どもができるなどのタイミングで、その時に最新の医療現場の流れを反映している商品に加入するという流れがおすすめです。一生涯加入する保険は大人になってからということを見据え、それまでのつなぎとして共済に加入と考えてはいかがでしょうか。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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