著名人・専門家コラム
2023.09.15
離婚したら保険はどうする?手続きや名義変更のやり方【住宅FP関根が答える!Vol.68】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
現在、多くのご夫婦が離婚をしているというのはご存じの方も多いと思います。厚生労働省が公表している人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、令和4年における婚姻件数は50万4,878組で、離婚件数は17万9,096組でした。この数字を単純計算すると約35.5%のご夫婦が離婚をしており、3組に1組が離婚をしている計算となります。ただこの計算は令和4年の婚姻件数と離婚件数を比較した場合であって、毎年婚姻数は変わりますし、同じように離婚件数も変わるため、必ずしも結婚をしたご夫婦の3組に1組が離婚をするということではありません。ただ多くのご夫婦が離婚をしているという現実があります。本日はお子様がいるご夫婦が離婚をしてしまった場合の離婚後の流れ、保険における手続きを解説いたします。
※参考:令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省
離婚をした場合の保険金受取人変更
離婚した際にまず考えなければいけないのは、受取人や指定代理請求人の変更です。死亡保険に入っている場合には、その受取人は配偶者になっていることも多く、配偶者ではない別の人物に変える必要があります。受取人を親や兄弟に設定する人も多いですが、受取人はお子様を指定したいと希望する人もいらっしゃいます。しかしお子様の年齢がまだ幼かった場合はどうするのでしょうか。実際には生命保険金の受取人に年齢制限はありません。そのため、仮にお子様が0歳児だったとしても、受取人に指定することはできます。
ただ幼いお子様ですと、もし死亡事故が発生した場合、お子様が1人で保険金を請求することはできません。また、死亡保険金の金額は大きい金額になるケースが多く、大人よりも判断能力が未熟であるお子様が受け取った後に管理できないことも多いと思います。そういった場合には未成年後見人が代理で請求を行うことが多いです。
未成年後見人とは
未成年後見人とは、お子様がまだ幼いなどの理由で保険金の請求や、受け取った保険金の管理等ができない場合、そのお子様の代理人となり、それらの管理を行う人のことをいいます。未成年後見人は遺言などで指定していない場合、未成年者本人、またはその親族などが家庭裁判所に請求することにより、選任してもらう流れとなります。ただ、家庭裁判所が認めれば、離婚をしたもう片方の親が未成年後見人になる事は可能となっています。
指定代理請求人の変更
また、一部の保険には、指定代理請求人というものがあります。例えば、本来ですと医療保険に加入をしていて入院給付金を請求する場合、入院給付金の請求ができるのは被保険者のみになります。しかし実際には、被保険者が病気などにより重篤な状態で、保険金の請求をかけられない場合もあります。その場合、あらかじめ指定していた指定代理請求人が、被保険者の代わりに保険金を請求することができるのですが、この指定代理請求人は配偶者を指定していることが多いです。そのため離婚をした場合、この指定代理請求人も親や子供などに変える必要があります。
その他の手続き
そして貯蓄性の保険などに加入をしている人も多いと思いますが、その解約返戻金をどう分けるのかも考えなければいけません。基本的に保険の解約返戻金というものは積み立てていた契約者の財産となりますが、ご夫婦によっては夫婦共有で築いた財産と捉える方も多くいらっしゃいます。資産を分ける際にはその時点の解約返戻金ベースで計算をするのか、それまでに支払った保険料ベースで計算をするのか話し合う必要があります。
また、純粋に離婚により名前が変わった場合などは、契約者名、支払いの銀行口座や、クレジットカードの変更なども必要です。場合によっては、契約印の変更手続きも必要になります。
離婚をしたら、保障の見直しを
ここまでは、離婚に関する手続き上の話をしましたが、そもそも子供がいる状態で離婚をするということは、離婚後、シングルマザーもしくはシングルファーザーになるので、それまでの保障とは大きく変わってきます。健康保険などの条件も変わる可能性もありますし、ご夫婦で暮らしている場合には、いざという時に、お互いを助け合うことができ、自分に病気が見つかったとしても、万一お亡くなりになった場合でも配偶者の収入も期待できていました。しかし、離婚後は万一のことが起きたときには自身で貯めている預貯金と加入している保障で賄わなければいけません。
シングルで子供を育てながら入院をすることになってしまった場合には入院保障は足りているのか、またいざ万一のことが起こったときに、死亡保障が足りているのかなども専門家に相談をしながらしっかりと計算をし直し、保険を検討していきましょう。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。