著名人・専門家コラム

2023.10.11

相続対策として生命保険を活用しよう!【住宅FP関根が答える!Vol.72】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
2015年における相続税法改正で、相続時における基礎控除額は以前より大きく引き下げられました。改正前と比べて、相続税の課税対象となる人の割合は大幅に増えています。

2015年の相続税法改正での変更点

具体的な数字でいいますと、改正前の相続税の基礎控除額は
「5000万円 + 1000万円×法定相続人の数」
となっていました。そのため、仮にご夫婦と子供が2人いるご家族で、ご主人様が亡くなられたとした場合の基礎控除額は「5000万円+ 1000万円× 3人(奥様と子供が2人)」という計算となり、基礎控除額は8000万円です。そのため多くの場合には相続税はかかりませんでした。 

それが2015年の相続税法の改正により、
「3000万円+ 600万円×法定相続人の数」
となりました。これを先ほど例に挙げた同じ家族で見た場合、「3000万円+ 600万円× 3人= 4800万円」となり、以前の8000万円と比べ大幅な減額となっています。

以前基礎控除額が大きかったときに相続税を支払うのは、一部の資産家や富裕層だけとなっていたのですが、比較的地価が高いエリアに土地をもっている方で、2000〜3000万円程度の現金をもっていれば、相続税の課税対象となる場合が多くなりました。

具体的な金額でお伝えしますと、国税庁の「令和3年分 相続税の申告実績の概要」によると、相続税法の改定前である2014年は全体の4.4%が課税対象となっておりましたが、改定後の2015年には一気に8.0%にまで上がっています。また2021年は9.3%と、11人に1人以上の割合で課税対象者となりました

※参考:令和3年分 相続税の申告実績の概要|国税庁

相続対策における生命保険の活用

相続税を払わなければいけないご家族が相続税を払わなかった場合、脱税になってしまいますが、生命保険を活用することで相続対策をすることができます。相続で生命保険を活用すると、保険金の非課税枠を利用することができます。
この生命保険の非課税枠というのは「500万円×法定相続人の数」となります。

仮に、先ほどの上記の家族でのパターンだった場合を計算してみます。現金が1500万円あったとします。その1500万円を使い、一時払いタイプの生命保険に加入すると、死亡時に受け取った保険金は、同じ1500万円だったとしても、相続人が3人いて、死亡保険を500万円ずつ用意していた場合、1500万円は保険金の非課税枠が適応されるため、その1500万円は非課税となります。そのため、生命保険による非課税枠の利用というものは、最もオーソドックスな相続税対策となっています。

特定の人に財産を遺す

また、被相続人(亡くなった父親)が、特定の人物に財産を遺してあげたいという場合も、生命保険の活用ができます。通常遺言書がない場合、相続財産は法定相続通り分割することになります。ただ、家族関係などで、特定の人物に多く遺してあげたいと思うこともあると思います。例えば、老後親の面倒を見てくれたといった場合や、息子夫婦に対して多めに遺してあげたい、離れて暮らしていて数年に1度、顔出し程度の長女との間に差をつけてあげたいという場合などに活用することもできます。

生命保険を活用し、受取人を長男にした場合、その財産は受取人である長男固有の財産として扱われるため、他の相続人達と話し合う必要がなく、保険金を受け取ることができます。そして、他の相続人から遺留分を請求される心配もありません。

納税資金等の確保

また一定の現金を生命保険で準備するというのは、納税資金等の確保にも役立ちます。例えば父親が亡くなった後、相続が発生したとします。一般的に被相続人が亡くなった場合、相続税の支払いもすぐに来ますし、葬儀関連費用の支払いも必要です。コロナ以降、葬儀費用の価格も下がってきてはいるのですが、それにしても100万円や200万円、場合によっては500万円など、まとまった金額がかかることが一般的です。

ご存知の方も多いと思いますが、被相続人がお亡くなりになった後は、預金は一時凍結され、遺産分割協議が完了するまでは、誰も引き出すことができなくなります。相続の状況によっては家族間で意見が分かれ、遺産分割協議自体が長引くことも考えられます。ただ、生命保険の受け取りは、申請をすれば数日でまとまったお金が振り込まれるため、納税資金や葬儀費用等、お亡くなりになった後に確実にかかってくる資金を前もって準備することができます。相続対策としての生命保険の加入は終身保険が基本となります。人はいつか必ず亡くなります。その亡くなったときに、必ず受け取れるものとして終身保険が選ばれます。

まとめ

最近では終身保険に関して、商品によっては80歳まで加入でき、非常に簡単な告知で加入できる商品もあります。商品によっては職業告知だけで加入できるものもあるため、相続対策を一切行っていないという方は、生命保険の活用を検討するのも良いのかもしれません。

2015年に相続税法が改正される前は、相続税を支払う必要のある人は少なかったため、相続時のことを心配する人自体も少なかったです。そのため相続における生命保険の活用等のニーズも一部の資産家や富裕層に限られていたのですが、現在は課税対象となる人も大幅に増え、こういった検討をする方も増えています。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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