著名人・専門家コラム

2023.10.25

「終身保険でお葬式代を準備しましょう」はあり?【住宅FP関根が答える!Vol.74】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
先日相続対策としての生命保険を活用しようというコラムをアップしました。2015年における相続税の法改正により、相続税の課税対象となる人の割合が大幅に増えました。そういった相続税の支払い準備のために生命保険を活用しましょうといったお話をしましたが、相続は被相続人がお亡くなりになった後に発生するため、保険終了の期間が決められている定期保険ではなく一生涯保障の終身保険での準備が必須となります。

本日は、終身保険の活用方法として昔からよく言われている「終身保険でお葬式代を準備しましょう」というのは果たして効率の良い方法なのでしょうか。人は亡くなった際、必ずお葬式を挙げることになります。そして葬儀費用は数100万円単位のまとまったお金がかかるため、確実にそのお金を用意するためには終身保険を利用し準備をするというやり方が昔からありました。ただ近年、低迷し続ける日本債券の金利により、終身保険で準備することが、必ずしも効率の良い準備の方法ではなくなってきています。早速考えていきたいと思います。

葬儀費用の相場は?

まずはお葬式にかかる費用を確認していきます。2022年3月に実施した「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、葬儀にかかった合計費用は、全国平均で133.1万円とのことです。その内訳を確認していきます。お葬式にかかる費用は、お葬式自体にかかる費用、葬儀の際にかかった飲食代、葬儀に来ていただいた方への返礼品、さらにお寺や神社等へのお布施の費用なども入ります。
最近ではお葬式を小規模で行う人も増えており、家族葬として内輪で行う場合や、通夜などを行わずに一日で告別式と火葬まで行う一日葬、火葬のみを行う形式などもあり、お葬式自体の形式も様々で、費用も当然違ってきます。

ここでは一般的な葬儀に係る費用を確認します。まずはお葬式にかかる費用ですが、火葬場の使用料金、お葬式が行われる式場の使用料金や人件費等が含まれます。この費用として67.8万円とされています。そして参列者の飲食代、通夜振舞いや精進落とし、飲み物代等で20.1万円。参列者への返戻金や、香典返しに22.8万円。お寺や神社等へ支払う読経料、戒名料、心づけなどで22.4万円とされ、それら合計は約133.1万円とされています。

※参考:第5回お葬式に関する全国調査(2022年)|株式会社鎌倉新書

仮にお葬式費用を150万円と考え、その150万円を終身保険で準備する場合、どれくらい効率よく準備をすることができるのでしょうか。

終身保険で葬儀代を準備するのは効率がいい?

終身保険には一般的な終身保険と、低解約返戻金型終身保険があります。この低解約返戻金型終身保険は、保険料を払い込んでいる間は解約返戻金が低く抑えられており、保険料の払い込みが終了した後、解約返戻金が一気に増える仕組みになっています。

保険料払い込み期間においては解約返戻金が低く抑えられている分、途中で保険料を払えなくなり保険を解約する場合、損をしてしまいます。しかし、保険料の払い込みが終了すれば多くの場合、解約返戻金は支払い保険料を超えてくるため、終身保険として使うこともできますし、老後の貯蓄として使うこともできるという仕組みになっています。

具体的に計算をしてみたいと思います。ここでは、

  • 被保険者年齢:40歳
  • 保険料の払い込み:65歳まで
  • 保険金額:200万円

で考えます。この場合の支払保険料と保険金を比べた場合、支払保険料に対し必ずもらうことができる保険金は現在加入をした場合わずか107%程度にしかなりません。また保険料を払いこんでいる間の解約返戻金は60%から70%程度に抑えられています。保険料の払い込みが終わった65歳以降は、解約返戻金が払い込み保険料の累計を超えてきます。ただ超えてくるといっても大幅に超えるのではなく、払い込み保険料の累計を1%から5%程度超えてくる商品が多く、老後の貯蓄代わりと考えたとしても決して効率の良いものではありません。

現在は、日本債券の利回りが極端に悪いため、終身保険を外貨建て終身保険で準備をするというやり方もあります。一般的な外貨建て保険の場合、被保険者が40歳、保険料の払い込みが65歳だった場合、死亡保険金は支払い保険料の2倍程度になる商品も多く、107%程度の円建ての保険より効率はいいです。また解約返戻金においても保険料を支払っている間は同じく60%から70%と低く抑えられていますが、保険料の支払いが終了した65歳以降は120%程度に増え、さらに80代になる頃には140%から150%程度になっている商品も多いです。

これくらい増えるようでしたら効率よくお葬式代を準備するという言葉にも当てはまってくるのかもしれません。ただ、外貨建て終身保険は為替の影響を受けますので、ドル建てで計算される保険料や保険金額は毎月変動しますし、死亡保険金や解約返戻金も同じく変動します。受け取る際に保険料を支払っていた時よりも円安に変動していた場合、保険金は増えますが、逆に円高に変動した場合、減ることもあるためリスクもあります。

まとめ

1980年代から1990年代にかけてのバブルの頃は日本債券の運用利率が良かったため、終身保険で葬儀費用を準備するやり方は円建ての終身保険でも効率がよかったのですが、現在は長期にわたり金利は低迷し、決して効率の良い準備の仕方とはいえません。

外貨建て保険の場合、金利は高いのですが為替の変動を受けるため、死亡保険金や解約返戻金の予想もつきにくく、不安も残ります。そう考えると「終身保険でお葬式代を準備しましょう」という考え方は、今の時代に合っていないのかもしれません。終身保険は相続における非課税枠の活用や保険金受取人の指定などのメリットはたくさんあるため、その時代や金利の状況などを見ながら加入目的も変わっていくのだと思います。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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