保険の基礎知識

2023.05.25

ネット生保の歴史と変遷【FP監修】

監修者情報

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。

生命保険といえば、以前は営業職員による対面販売が主流でしたが、インターネットの普及により、ネット生保と呼ばれるインターネットから申込可能な生命保険も増えています。

この記事では、ネット生保の歴史や変遷について解説します。生命保険の誕生から、日本におけるネット生保の歴史、対面販売と比べた際の特徴なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

生命保険の誕生

生命保険の基本は、加入者同士がお互いに助け合う「相互扶助のしくみ」です。加入者から集めた保険料を、加入者の中の必要な人に給付する生命保険の起源は、中世ヨーロッパにあるといわれています。

中世ヨーロッパでは、商人たちの多くは「ギルド」と呼ばれる同業者組合に加入していました。ギルドには、メンバーの誰かが経済的に困窮したときや、冠婚葬祭などのイベントが起きたときに備えて、メンバーがお金を積み立てるしくみがありました。一説には、これが生命保険の起源であるといわれています。

また、17世紀のイギリスでは、教会の牧師たちが組合を作り、自分たちの死亡時に遺族のためにお金を出し合う制度を始めました。その後、イギリスの数学者ジェームス・ドドソンが公平な保険料分担の方法を発見すると、1762年には、近代的な生命保険会社が設立されています。

なお、日本で初めて近代的な生命保険の概念を紹介したのは福沢諭吉です。1881年には、日本初の生命保険会社が設立されました。

ネット生保の歴史と変遷

日本でネット系生命保険が誕生したのは2008年です。それ以前は、生命保険は対面で加入するしかありませんでした。インターネットを使って生命保険の資料を請求することはできましたが、加入申し込みなどをネット上で完結させることは認められていなかったのです。

しかし、2008年に規制緩和により、インターネットを使った保険販売が可能になりました。2008 年 4月にSBIアクサ生命(現:アクサダイレクト生命)、2008年 5月にライフネット生命が設立されて、日本におけるネット生保の歴史がスタートしたのです。

ネット生保黎明期

2社とも、当初はインターネット専業生命保険会社として出発し、見積もりから申込までネットで完結する医療保険と定期保険を取り扱っていました。

ただし、アクサダイレクト生命は2008年6月、ライフネット生命は2012年10月から代理店を通じた保険の販売も開始しています。

対面販売の生命保険会社も参入

しばらくネット生保と呼べるのはアクサダイレクト生命、ライフネット生命の2社だけの状態が続いていましたが、2011年以降は対面販売の生命保険会社も、ネット生保の分野に参入するようになりました。

その皮切りとなったのが、2011年5月にオリックス生命から発売されたインターネット申込専用の定期保険です。その後もネット生保の分野には生命保険会社の参入が相次ぎ、商品の選択肢が広がったといえるでしょう。

なお対面販売も行っている生命保険会社がインターネット上で販売している保険には、2つのパターンがあります。それは、対面販売とまったく同じ商品を販売しているケースと、インターネットだけで販売されている専用商品を取り扱っているケースです。インターネット専用商品が存在する理由は、次のネット生保の特徴の項目で解説します。

ネット生保の特徴

ネット生保には、対面販売とは異なる特徴があります。ここでは、以下の4つの特徴を解説します。

  • 保険料が安いことが多い
  • 営業職員がいない
  • シンプルな設計の商品やインターネット専用商品が多い
  • 24時間・好きな場所から保険の検討・申込などができる

保険料が安いことが多い

ネット生保の特徴の一つが、同じ保障内容の保険同士を比較した場合、対面で販売されている保険よりも保険料が安い傾向があることです。その理由は、ネット生保には営業職員の人件費や店舗の家賃などが必要ないため、コストを抑えられることにあります。

営業職員がいない

ネット生保の保険料が安い理由でも解説した通り、ネット生保には基本的に営業職員がいません。営業職員からすすめられるのではなく、自分で商品を選ぶのがネット生保の特徴です。そのため、ネット生保を利用する場合は、加入者自身にある程度保険の知識があるほうがより適切な保険を選べる可能性があります。

実は、ネット生保に営業職員がいないことはメリットでもあり、デメリットでもあります。

営業職員がいないことでコストが抑えられるのはメリットですが、商品にわからないことがあっても相談できる相手がいないのはデメリットとなる場合があるためです。

このようなネット生保のデメリットを解消するため、ネット生保の多くは保険ショップともいわれる保険代理店なども販売チャネルとして活用しています。また、電話やメールなどで疑問点を解決できる体制が整えられています。

シンプルな設計の商品やインターネット専用商品が多い

ネット生保の場合、対面販売と比較すると保障内容がシンプルでわかりやすい保険が多いのが特徴です。また、一部の対面販売も行っている生命保険会社が取り扱っているインターネット専用商品も同様に、対面販売の商品よりもシンプルに設計されています。

基本的に加入者が自分で保険を選ぶネット生保では、保障内容がだれにでもわかりやすいことが大切です。そのため、死亡保障や医療保障などのシンプルな掛け捨て型の保険がラインナップの多くを占めています。ネット生保に参入していても、貯蓄型や特約が多い複雑な保険は、対面販売のみとしている生命保険会社は少なくありません

24時間・好きな場所から保険の検討・申込などができる

ネット生保では、いつでもどこでも都合のよい場所から保険の見積もりをしたり、加入申込をしたりできるのが特徴です。特に、仕事などがあって営業時間内に保険代理店などの店舗へ行くのが難しい人や、育児などで外出がしにくい人には、大きなメリットだといえるでしょう。

まとめ

日本では、2008年にインターネット専業保険会社が設立されたのをきっかけにネット生保の歴史が始まりました。2011年からは対面販売型の保険会社の参入も相次ぎ、現在ではさまざまな商品の選択肢があります。

対面保険よりも保険料が安い・シンプルでわかりやすい商品が多いなどがネット生保の特徴です。費用を抑えながら必要最低限の保障内容でもしもの時に備えたい人や、忙しい人などに向いているといえるでしょう。

生命保険を選ぶ際は、ネット生保もぜひ検討してみましょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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