保険の基礎知識
2023.04.17
就業不能保険の特徴とは?独身の人にもおすすめできる理由とは?【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
独身のあなたが、もし病気やケガで働けなくなったとき、困るのはどんなことでしょうか?
仕事を休まなければいけない期間が長くなると収入が減り、生活が成り立つかどうか不安になりますね。個人事業主・フリーランスで、国民健康保険に加入している人は、病気で休んでいる間は収入がストップしてしまうので、なおさら心配です。
あなたが働けなくなったときに頼れる「就業不能保険」について、解説します。
就業不能保険とは
就業不能保険とは、病気やケガが原因で長期間働けない状態になったときに、給付金が受け取れる保険です。
就業不能保険の特徴を4つ解説します。
- 長期間にわたって働けないときの収入減少をカバーできる
- 医療保険の対象外の在宅療養もカバーできる
- 支払い条件が厳しいことがある
- 主婦やパートだと加入できないことがある
長期間にわたって働けないときの収入減少をカバーできる
あなたが働けない間、毎月一定額が支給されます。仕事を休むことによる収入減少を補い、生活費を確保することができます。
あなたが契約で定められた就業不能状態になってから、一定期間の支払い対象外期間を経たあと、再び働けるようになるまで、もしくは保険期間が終了するまで、給付金が支払われます。
日本では病気やケガで長期間療養する場合、会社員や公務員なら健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。また、障害が残った場合は障害年金も受給可能です。
しかし、自営業などで国民健康保険に加入している人は、傷病手当金制度の対象ではありません。
また、公的保障を受けられる人も、公的保障だけで生活費をすべてまかなうのは難しいため、就業不能保険で生活費の不足に備えておくと安心です。
医療保険の対象外の在宅療養もカバーできる
医療保険は医療費をカバーするためのもので、入院している期間や通院中にかかった医療費が支給される保険です。
いっぽう、就業不能保険なら病気やケガが原因で在宅療養している期間にも給付金が受け取れます。
支払い条件が厳しいことがある
就業不能保険は、商品によっては給付金が支払われる条件が厳しいものがあります。仕事を休まなければいけない状態になっても、給付金が受け取れない場合もあります。
特にうつ病などの精神疾患による入院などの取り扱いは、商品によってさまざまです。精神疾患でも給付金が支払われるものから、支払われたとしてもごく少額であるもの、就業不能状態とはみなされず給付金が受け取れないものまであります。
給付金が支払われる範囲が広いほど、保険料は高くなる傾向がありますので、加入に際しては必要な保障と保険料のバランスを考えながら選びましょう。
主婦やパートだと加入できないことがある
保険会社によっては、主婦やパート、アルバイトだと就業不能保険に入れなかったり、入れたとしても条件があったり、保険料が割高になったりすることもあります。
就業不能保険がおすすめな人・おすすめでない人
就業不能保険の特徴を踏まえ、どのような人におすすめ・必要性が薄いかを紹介します。
就業不能保険がおすすめな人
就業不能保険がおすすめなのは
- 自営業やフリーランスの人
- 貯蓄が少ない人
- 独身の人
です。
会社員や公務員なら長期間仕事を休んだとき、最長1年半にわたり、加入している健康保険から傷病手当金を受け取れます。しかし、自営業やフリーランスの人などが加入している国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。有給休暇などの制度もないため、仕事を休むことによる収入減少に自分で備える必要があります。
また、貯蓄が少ない人もいるでしょう。働けない期間の生活費をまかなえるだけの貯蓄がない人は、もしものときの経済的リスクに保険で備えることを検討しましょう。
独身の人におすすめできる理由については、後述します。
就業不能保険の必要性が薄い人
以下のような人には就業不能保険の必要性が薄いです。
- 十分な貯蓄や資産がある人
- 労働による収入以外の収入源がある人
十分な貯蓄や資産があったり、不動産収入のように給料以外の収入減がある人は、仕事を休むことによる収入減少があっても、保険を使って生活費をカバーする必要性は高くないでしょう。
ただし、仕事を休まなければいけない状況が、どれくらい続くかはわかりません。思いがけず長期にわたって働けなくなることによる経済的ダメージが不安な人は、就業不能保険がその不安を和らげてくれるかもしれません。
独身の人に就業不能保険がおすすめできる理由
独身のあなたが病気やケガで働けなくなったとき、どんな不安があるでしょうか?
- 他に収入を得ている家族がいない
- 貯蓄がまだ少ない人もいる
ということが、主な心配事になるでしょう。
他に収入を得ている家族がいない
独身の人は、経済的に支えなければいけない家族はいませんが、逆にあなた自身に何かあったとき、支えてくれる人もいないというリスクがあります。あなたの収入が減少するとすぐに生活費が不足してしまいかねません。
特に、自営業・自由業などで有給休暇や傷病手当金がない人は、就業不能保険で収入減少に備えることを考えましょう。
若くて貯蓄がまだ少ない傾向がある
独身の人の中には、20代や30代などの若い世代の人も多いでしょう。
貯蓄が少ない人は、働けない期間が長くなると、医療費や生活費を捻出するのが難しくなる可能性もあります。
そのような人ほど、就業不能保険に加入して備えておく必要性が高いでしょう。
まとめ
就業不能保険は、病気やケガなどによって働けなくなったときに給付金が受け取れるため、収入減少をカバーするのに適しています。特に自営業やフリーランスの人、自分以外に収入を得ている家族がいない独身の人や貯蓄が少ない人は、就業不能保険が役立つ場面があるかもしれません。
ただし、加入する際は給付金の支払い条件などをよく確認し、あなたにとって必要な保障が受けられるか確かめるようにしましょう。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。