保険の基礎知識

2021.10.18

相続税の基礎控除と生命保険の活用法

生命保険は相続税の対策にも活用できます。
相続税の対策にはいくつかの方法がありますが、最も簡単な方法のひとつが生命保険を活用する方法です。
この記事では、生命保険を活用した相続税の対策について詳しく解説します。
 

相続税の基礎控除と生命保険

 
相続税は、亡くなった方の財産を相続したとき、その財産に対して課される税金です。課税の対象となる財産は金融資産(現金や預貯金など)や貴金属、自動車、不動産などで、金銭や不動産だけでなく、すべての権利・義務が含まれます。
 
ただし、基礎控除額といって一定額までは相続税がかからない枠があります。実際に相続税が課されるのは、相続財産が基礎控除額を超えた場合です。 
相続税法で定められている基礎控除額は、3000万+法定相続人の数×600万円です。つまり、法定相続人の人数によって基礎控除額が異なります。

課税遺産総額 = 課税価格の合計額基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
 
注)
1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
2 法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数は、次のとおりです。
(1) 被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
(2) 被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。

出典:国税庁HP|No.4152 相続税の計算

死亡保険金は相続税の対象となる

 
生命保険は、契約者、被保険者、保険金の受取人が誰であったかによって課税される税金の種類が変わります。
 
保険金が相続税の対象となる場合は、契約者(保険料負担者)被保険者(亡くなった人=被相続人)が同一の場合です。この場合、保険金受取人が受け取る保険金が相続税の対象となります。

 

死亡保険金はみなし相続財産となる

 
生命保険金は相続税法上では、「みなし相続財産」として扱われ相続税の対象となります。
「みなし相続財産」とは、民法上、相続や遺贈で取得したものではないものの、相続税法では相続財産として扱う財産のことをいいます。
代表的なものに生命保険の死亡保険金や死亡退職金があります。生命保険金や死亡退職金は被相続人が亡くなったことを起因として遺族に支払われます。相続や遺贈で取得しているわけではありませんが、相続人に同様の経済効果をもたらすため、そのような財産に「相続があった」とみなして相続税の対象とすることによって課税の公平性を保つことが目的です。

 

死亡保険金には非課税枠がある

 
死亡保険金を法定相続人が受け取った場合、一定の金額までは相続税がかからないと相続税法上で定められています。死亡保険金はのこされた家族の生活を保障する、という大きな目的をもった遺産のため、一定の生命保険金までは非課税とされているのです。
この非課税となる一定金額を保険金の非課税枠限度額といいます。
法定相続人が受け取った保険金が、非課税枠限度額を超えた場合、超えた部分の保険金が相続税の課税の対象となります。

 

非課税枠の算出方法

 
生命保険金の非課税枠限度額は、法定相続人の数×500万円です。
たとえば、法定相続人が3人の場合は、3人×500万円=1500万円までの生命保険金が非課税です。
法定相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありませんので、死亡保険金受取人の指定には注意が必要です。

注)
1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
2 法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。
出典:国税庁HP|No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

 

生命保険を活用して相続税対策をする方法

 
生命保険を上手に活用すれば、相続税の対策をする事ができます。では、具体的にどのような効果が得られるでしょうか。

主に次の3つの効果が期待できます。順番に解説していきます。

・相続人がもめないようにできる
・相続税を軽減できる
・納税資金を用意できる

 

相続人がもめないようにできる

 

お金に名前をつけてのこせる

仮に相続人が複数であっても、死亡保険金は生前に受取人や受取割合を指定しておけるため、相続がおきたときの分け方によるトラブルを防ぐ事ができます。
受取人固有の財産である死亡保険金は、遺産分割の対象とはなりません。つまり、遺産分割協議で他の相続人の同意を得る必要がないため、すぐに受け取れます。
死亡保険金は「名前のついたお金」としてのこしたい人へ確実に届けられるのです。

生命保険で代償交付金を用意できる

家や土地など分けられない財産がある場合、土地や建物などを相続人のあいだで平等に分割するのは難しく、相続人のあいだでもめてしまうことが考えられます。
もめないための対策として、特定の相続人が土地や住宅を相続して、他の相続人には、土地や住宅を相続した人から代わりにお金を渡す「代償分割(だいしょうぶんかつ)」という方法があります。代わりに渡すお金を「代償交付金」といいます。
生命保険は「代償交付金」を用意しておく手段としても活用できます。

相続税を軽減できる

 
前述しましたように、生命保険金には非課税枠があるため、保険金で財産をのこすと相続税の負担を軽減できます。
たとえば、法定相続人が5人いて保険金でのこした場合は、2500万円(5人×500万円)までは課税されません。
 一方で、預貯金で2500万円を相続した場合は、相続税が課税されます。そのため、同じ現金をのこす場合、保険金としてのこすことによって相続税が軽減できる点がメリットです。

 

納税資金を用意できる

たとえば、相続する財産が土地や建物など不動産が多い場合、相続人の手元に十分な納税資金が用意できないケースが考えられます。その場合は、速やかに不動産を売却して納税するか、もしくは不動産をそのまま納税(物納)する必要があります。

亡くなった人(被相続人)が生前に生命保険に加入していれば、相続人は保険金を現金で受け取れるため、保険金をを納税資金(相続税の支払い)に充てられます。
相続税の納税のために不動産を売却したり、物納しなくてもすむよう、保険金であれば確実に納税資金をのこせる点もメリットです。

 

手続き上の生命保険金のメリット

 
さいごに、手続き上の生命保険金のメリットについて解説します。
 

受取人のみで手続きできる

 
たとえば、相続人が複数いても、生命保険の保険金はその保険金を受け取った受取人の固有の財産となるため、受取人のみで生命保険金を受け取る手続きができます。
また、受取人固有の財産である死亡保険金は、遺産分割の対象とはなりません。他の相続人の同意を得る必要がないため、すぐに受け取れます。

 

相続放棄しても受け取れる

 
相続財産に債務(借金)も含まれている場合は、借金などの債務を引き継がないために相続放棄を選択するケースがあります。仮に相続放棄をしても、死亡保険金は、保険金受取人の固有の財産となるため受け取れます。
ただし、この死亡保険金は、税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。また、相続を放棄した場合は相続人とはみなされないため、生命保険金の非課税金額の適用を受けることはできません。(相続税の基礎控除は適用されます。)

また、相続放棄をした本人は非課税の適用を受けることはできませんが、他の相続人の非課税限度額を計算する際の法定相続人の人数には相続放棄をした人も含めます。
たとえば、夫が亡くなって(被相続人)、法定相続人が3人(妻、子A、子B)の場合
・死亡保険金受取人:妻と子A ※子Aは相続放棄
この場合、子Aは死亡保険金を受け取れますが、非課税の適用は受けられません。
一方で妻が受け取った保険金には、500万円×法定相続人3人=1,500万円まで非課税限度額が適用されます。

 

まとめ

 
この記事では、生命保険を活用した相続税の対策について解説しました。 
相続税の対策にはいくつかの方法がありますが、最も簡単な方法のひとつが生命保険を活用する方法です。 
加入する際の注意点として、被保険者、契約者、受取人を誰にするかで相続税の対策に活用ができるか否かが変わります。事前にしっかり確認して加入手続きをしておくようにしましょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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