著名人・専門家コラム

2022.06.21

保険の営業マンにも行われる税務調査とは?

ほとんどの人が一生に1回、あるいは、2回程度しかしない確定申告。
個人事業者になれば、毎年やらなければいけません。
みなさんに保険を販売する保険の営業マンもその多くが個人事業者。
経費を記録し売上を把握し、毎年、確定申告をしています。
そして確定申告をしていると、税務調査を受けることがあります。
もちろん、保険の営業マンも税務調査を受けます。
今回は、税務調査を受けた年収2,000万円の保険の営業マンAさんに話を聞きました。

まさか自分のところに税務調査の連絡がくるなんて

30代のAさんは、現在は週に2回ほど仕事をして、あとは漫画を読むなどして日々を過ごしています。
年収が2,000万円を超える少し前から労働時間を減らし、既存顧客から紹介された裕福な人とだけ会う約束をして保険契約を行なっているそうです。
裕福な人たちから継続的に紹介を受けて契約がまとまるから、週2の労働でも妻と子を養うことができる。他の営業マンとの違いが気になるところですが、そんなAさんにある日税務調査の連絡がありました。
通常であれば、管轄の税務署の個人課税部門から顧問の税理士さんに電話があり、税理士さんと納税者で日程調整を行います。
しかし、Aさんには顧問税理士がおらず、確定申告も自分ひとりで行っていました。
きっと申告の内容も杜撰だったと思います。
税務調査の連絡を受け、言われるがままに自宅で調査を受けることになりました。

年収2,000万円でも白色申告

確定申告には青色申告と白色申告があります。
事前に申請し複式簿記で帳簿を作るなど条件がありますが、控除などの特典があるので継続して事業を続ける方や売上が安定している方は青色申告を選択するのが一般的です。
昔から営業している規模の小さな事業者さんやアルバイトをしているタレントさんは白色申告の方が多いかもしれません。

年収が2,000万円で白色申告の方は滅多にいないような気がします。というのは、売上がある程度大きくなれば、確定申告を税理士さんに依頼するようになります。税理士さんが白色申告のまま確定申告を続けるとは思えないので、年収が2,000万円ならばほとんどの人が青色申告であると推察できます。
でも、Aさんは白色申告でした。

簿記や会計、税務の知識はなく、なんとなく経費を計上し、なんとなく売上を計上していたそうです。
税務調査で調査担当者が言っている意味もわからず、矛盾を指摘したり疑問点を質問したりすることもできず、修正申告をすることになってしまいました。

修正申告とは、税務調査の後に行われる一般的な手続きです。税務調査では、事前に税務署に提出された確定申告書の数字が正しいかどうかを調べます。
このとき、確定申告書だけを見てもわからないので、関係者に話を聞いたり、日々の経費の記録や請求書などの資料を見たり、銀行に照会をかけたりします。
調査によって誤りや不正が明らかになると、調査担当者から「修正申告してくださいね」と言われますが、修正申告は納税者が自主的に行うものなので、内容が不服であれば提出しない選択肢もあります。

Aさんは調査によって誤りであると指摘された内容は理解しないまま受け入れて、修正申告をしてしまいました。

税務調査で800万円の納税

筆者はこの税務調査の2年後に、保険の営業マンの組合に出向いて講演をし、その打ち上げでAさんに会いました。

「800万円も納税したよ。3年分だったかな。経費もほとんど認めてくれなくてさ。貯金は全部なくなったよ。今は税理士さんに頼んでるから安心だけど。」

Aさんの言う800万円が何なのかはわかりません。所得税だけでなく消費税もあるし、延滞税という利息や加算税といった罰金が含まれている可能性もあります。
ただ、「経費をほとんど認めてもらえなかった」のが事実であれば、知識不足によって過剰な負担を強いられている可能性があります。

経費を支払ったと証明するための領収証がなかったのか、そもそも経費はほとんどなかったけれど恣意的に計上していたのか。
領収書がなかっただけならば、クレジットカードの明細を見せたり推計での経費を認めてもらったりできたかもしれない。
興味深かったのでAさんにいろいろと質問をしましたが、今でもよく理解しておらず事実は分かりませんでした。

税務調査は素人では対応できない

申告は自身で行ったとしても、税務調査は税理士先生に来てもらう方が良かったと思います。
もちろん、立会料はかかりますが、支払いの総量は減るかもしれない。
一度税務調査を受けて結果が出れば、次の税務調査が来る可能性も高くなります。
仕事でたまに一緒になるカメラマンさんは、10年間で3回の税務調査を受け、毎回追徴課税を受けています。
それでも、税理士さんと契約しません。

個人事業者としての知識不足は過重な負担の原因となります。時間がかかるし、支払いも増えるかもしれない。そう考えると、何事もプロに任せる方が良いと筆者は考えます。


元国税局員芸人『さんきゅう倉田』前回のコラムはこちら

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WRITER’S PROFILE

さんきゅう倉田

芸人。ファイナンシャルプランナー。1985年神奈川県生まれ。 大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。中小法人を対象に法人税や消費税、源泉所得税、印紙税の調査を行ったのち、同局退職。吉本興業の養成所NSCに入学し、芸人となる。

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