保険業界のリアル
2022.04.18
最安値の生命保険を提示できる会社はあるの?【FP監修】
生命保険に加入すると、保険料の支払いが必要です。
月々の保険料が少しでも安くなると、積み重なって大きな節約になることから、生命保険の保険料は最安にしたい、と考えている方も多いでしょう。
本記事では、保険料についての解説をしつつ、安い保険料を提示してくれる保険会社について、保険料を最安にするためのポイントについて解説します。
どのような要素で保険料は決まる?保険会社による違いとは?
みなさんは生命保険の保険料がどのような要素をもとに決定しているか、ご存じでしょうか。
一般的には「保険の種類」「保障内容」「加入者」「保険会社・商品」などの要素によって保険料が決定します。
そのため「どの保険会社の生命保険に加入するか」によっても保険料が異なると言えます。
ここでは、それぞれの要素について解説していきます。
保険の種類
保険にはさまざまな種類があります。
例えば、保険料について、掛け捨ての保険と貯蓄型の保険があります。
保険料掛け捨ての保険は、満期を迎えた際や保険を解約する際に、満期保険金や解約返戻金のように、それまでに支払ってきた保険料が戻ってこない保険です。
一方で、貯蓄型の保険は、満期保険金や解約返戻金があり、保険料が積み立てられている保険と言えます。
掛け捨て型の保険は保障のみ、貯蓄型は「保障と貯蓄」の2つの機能を持っているため、基本的には掛け捨て型の保険の方が保険料は安いです。
次に、保険期間について、定期タイプと終身タイプがあります。
定期タイプは保険期間が10年間、あるいは60歳までと一定期間と限定されています。
更新を複数回すると長期間保険に加入できますが、80歳〜90歳あたりで多くの商品で更新ができなくなります。
一方で終身タイプは一生涯の保障を得られます。
同条件の場合、定期タイプの方が保険料は安いです。
そのほかには、保険料が外貨で運用される商品もあります。
保険会社は将来の保険金の支払いに備えて、私たちが支払う保険料の一部を運用しています。
日本の生命保険会社であれば、多くは円で運用しますが、商品によって、米ドルなど、外貨で運用しているものもあります。
外貨で運用する理由は日本円と比較して運用利回りが良いことがあるからです。
そのため、円で運用する商品よりも保険料が抑えられます。
ただし、保険金を外貨で受け取るため、保険金を受け取るタイミングの為替相場次第で、受け取れる保険金額が変動するリスクがあります。
保障内容
加入する保険の保険金・給付金の額や特約の有無が保険料に影響を与えます。
生命保険の仕組みは、万一のときの備えを多くの人で出し合う、というものです。
そのため、多くの備えを求める方は、その分保険料の負担が大きくなる仕組みです。
例えば、死亡保険の保険金を1,000万円に設定する人と、2,000万円に設定する人とでは、その他の条件が同じ場合、2,000万円に設定する人の方が保険料の負担は大きくなります。
また、死亡保険の保険金、医療保険の入院給付金のような生命保険の主契約とは別に、特約があります。
特約は主契約に追加するオプションのような保障、という認識で問題ありません。
特約を付加することで、保障が手厚くなるため、特約を付加すると基本的には保険料の負担が大きくなります。
特約によって、保険料の増加に影響する度合いが違うため、契約時によく確認しましょう。
加入者
加入者によっても保険料の負担は異なります。
生命保険の仕組みの都合上、保険金を支払う可能性が高いと予想できる人と、そうでない人の保険料の負担を同じにすると、加入者同士の公平性を保つことができないからです。
保険料に影響を与える要素は主に以下の4つです。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 健康状態、病歴
「年齢」に着目して考えてみると、20歳の人と50歳の人とでは、50歳の人の死亡保険の保険金や医療保険の給付金などを支払う可能性が高いと考えられます。
年齢を重ねるごとに、死亡率や病気やケガになる可能性が高いことは想像しやすいかと思います。
そのため、20歳の人と50歳の人を比較すると、その他の条件が同じであれば、50歳の人の方が保険料の負担は大きいです。
他の要素に関しても、保険金や給付金を支払う可能性が高いと予想できる人の保険料の負担が大きくなるように設定されています。
このように、加入者によって負担する保険料の割合を変えることで、加入者同士の公平性を保つ役割があります。
保険会社・商品
最後に、商品そのものや商品を扱う保険会社による違いです。
保険会社は「対面販売を行う保険会社」と「ネット保険」の大きく2つに分類できます。
私たちが支払う保険料は「純保険料」と「付加保険料」の2種類で成り立っています。
純保険料は保障や貯蓄の準備に使われるもの、付加保険料は保険会社の経費に充てられるものです。
「対面販売を行う保険会社」と「ネット保険」で、純保険料に大きな差はないとされています。
純保険料は、加入する商品や保障内容、加入者などの要素で決まります。
付加保険料は保険会社によって異なります。
保険会社の経費には、職員の人件費、店舗・オフィスの維持費用、広告費用、などが含まれます。
これらは保険会社によって大きく差が出る点で、傾向としては、ネット保険の方が安いです。
ネット保険の場合、保険の営業担当者や店舗などが不要なため、対面販売を行う保険会社と比較すると、大幅にコストを削減できます。
このような点から、ネット保険の方が保険料が安い傾向にあります。
最安の保険料の生命保険に加入するためのポイント
「最安の保険料を提示する保険会社はどこ?」という問いに対して、特定の保険会社の名前を挙げることはできません。
生命保険に加入する目的を満たしつつ、最安の保険料になる保険会社・商品は人によって異なるからです。
生命保険に加入する目的や必要な保障額は人によって違います。
さらに言えば、同じ人でも、今と10年後では異なる可能性も十分に考えられます。
そのため、その時々で、保険料を抑えつつ、生命保険に加入する目的を満たすことができる商品をご自身で見つけるしかありません。
ここでは、生命保険に加入する目的を満たしつつ、保険料を最安にするためのポイントを解説します。
ご自身に必要な保障を考える
まずは、ご自身に必要な保障を知る必要があります。
とはいえ、いきなり必要な保障を想定することは難しいかと思います。
そこで、下記の2点を整理しましょう。
- 生命保険に加入する理由を明確にする
- 今後のライフプランを明確にする
生命保険に加入する目的の例としては「万一のときの家族の保障」「病気やケガによる医療費に備える」「働けなくなった時に備える」などが挙げられます。
ライフプランの例としては以下のようなものが挙げられます。
- 結婚
- 出産
- マイホームの購入
- 子どもの進学
- 子どもの独立
- 定年退職
その時々によって、必要な保障が異なるため、今後どのようなライフプランを送りたいかを考えつつ、ライフプランに必要な資金を整理しましょう。
また、ご自身に必要な保障を考えるにあたり、保険会社のホームページにあるシミュレーションを利用することもおすすめです。
ネット保険を選ぶ
最安の保険料の生命保険を求める場合、ネット保険がおすすめです。
先ほど解説した通り、対面販売を行う保険会社と比較して、コストを抑えられる分、私たちが負担する保険料が抑えられます。
ネット保険の注意点として、以下の点が挙げられます。
- 自分に合う商品を探す手間がある
- 手続きをすべて自分で行う必要がある
- 選択肢があまり多くない
- 審査が厳しい傾向がある
生命保険について全く知識がない方やインターネットを通じての申し込みに不安がある方などには難しいかもしれません。
コールセンターに連絡するなど、知識不足を補う手段はありますが、人によってはハードルが高く感じてしまうかもしれない点は注意が必要です。
保障内容はシンプルかつ最低限にする
保障内容を手厚くすると保険料の負担は大きくなります。
そのため、最安の生命保険に加入するためには、先ほど把握した必要な保障を満たす最低限のものに抑える必要があります。
主契約・特約を含めて、保障内容は過不足ないように注意しましょう。
保障内容を過不足なく設定することに加えて、今の保険料を抑える目的であれば「掛け捨ての定期タイプ」の保険を選択しましょう。
ただし、老後を含む一生涯の保障を求める方で、人生単位の保険料の支払額を抑えたい方は終身タイプの保険がおすすめです。
終身タイプには更新がなく、保険料は加入時から変わらないため、保険に加入している期間が長くなれば長くなるほど、保険料を抑える効果が期待できます。
ただし、保険加入時は定期タイプの方が安い点には注意が必要です。
複数の保険会社・商品の保険料を比較する
ネット保険に分類される保険会社でも、保険会社・商品によって保険料が異なります。
インターネット上で保険料のシミュレーションが可能なため、申し込みをする前に、複数の保険会社の商品で保険料を試算することをおすすめします。
手間かもしれませんが、保険料を毎月支払うことを考えると、少しの保険料の差でも積み重なって大きくなる可能性があるため、申し込み前に同じ条件で少しでも保険料が安くなる保険会社・商品がないか探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
私たちが支払う保険料のうち、付加保険料の部分は保険会社によって大きく違うため、同じ条件で生命保険に申し込む場合でも、保険会社によって保険料が異なります。
最安の保険料を希望する場合、ネット保険がおすすめです。
ネット保険の商品を選びつつ、必要な保障を満たす、シンプルで最低限の保障内容に設定すると、最安の保険料の生命保険を契約できるでしょう。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。