損害保険・少額短期保険
2024.02.15
80歳は葬儀保険に入れる?高齢でも加入しやすい理由や注意点を解説【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
葬儀には100〜200万円程度のお金がかかることが多いといわれており、葬儀費用をカバーする方法として葬儀保険に注目が集まっています。高齢になってから葬儀保険に加入する人も増えていますが、80歳の方は葬儀保険に入れるのでしょうか。
この記事では、80歳の人が葬儀保険に入れるのかどうかを解説します。また、加入前に注意すべきポイント、葬儀保険以外の方法で葬儀費用に備える方法も併せて紹介します。
80歳でも葬儀保険に入れる理由
葬儀保険は、少額短期保険と呼ばれる種類の保険です。一般的な保険と比べると保険金額が最大で300万円と少なく、保険期間は1年または2年と短いという違いがあります。また掛け捨て型の保険で、解約返戻金や満期保険金はありません。
しかし、鎌倉新書が2022年に実施した「第5回お葬式に関する全国調査」によれば葬儀にかかる基本料金や飲食費などの費用の平均は110.7万円です。葬儀の規模によってもかかる費用は異なりますが、お寺へ渡すお布施などを含めても200万円程度に収まることが多いと考えられます。そのため、葬儀保険の保険金額は十分だといえるでしょう。
また、一定の年齢に到達するまでは、葬儀保険を更新することで長い期間にわたって保障を受けることも可能です。ただし、更新のたびに保険料が上がることは押さえておきましょう。
次の項目で、80歳でも葬儀保険に入りやすい理由を2つ紹介します。
※参考:第5回お葬式に関する全国調査(2022年)|株式会社鎌倉新書
80歳以上でも加入できる商品が多い
葬儀保険は、高齢でも入りやすい保険のひとつです。一般的な保険と比べると、新規に加入できる年齢の上限が高く設定されている傾向があります。
80歳以上でも加入できる葬儀保険が複数あり、商品によっては85歳や89歳まで加入できます。
70歳以降は加入できない生命保険もあることと比較すると、葬儀保険は高齢でも入りやすい保険といえます。
医師の診断書や告知が不要
80歳の人が保険加入を考える場合、年齢制限と同時に気になるのが健康状態です。一般的な保険では、保険加入にあたって健康状態の告知が必要なことが少なくありません。さらに、告知内容によっては保険加入を断られる可能性もあります。
年齢が上がるほど持病を持っていたり、病歴があったりする割合が増えるため、健康状態を理由に保険加入できない人も増えてきます。
一方で、葬儀保険は引受基準がゆるい保険です。加入に際して、医師の診断書や健康状態の告知が必要ない商品も少なくありません。健康状態による制限という面で見ても、葬儀保険は80歳の人にとって加入しやすい保険だといえます。
80歳が葬儀保険に加入する際の注意点
80歳の人が葬儀保険に加入できる可能性は高いといえますが、加入する際に注意したいポイントがいくつかあります。以下の3つの注意点を確認してから加入を検討することをおすすめします。
更新年齢にも上限がある
葬儀保険には終身タイプがないため、1年または2年の保険期間が終了するたびに更新が必要です。ただし、更新ができる年齢には上限があることに注意しましょう。保険期間が終了する時点で更新可能な年齢を超えていると、それ以上更新はできないため保障を受けることもできなくなります。
ただし、葬儀保険の更新年齢の上限は商品によって異なります。葬儀保険を選ぶ際は更新年齢の上限も確認しましょう。
なお、葬儀保険に加入できる年齢や更新できる年齢については以下の記事で詳しく解説しています。
待機期間中は保険金を受け取れない
葬儀保険のもう一つの注意点は待機期間が存在することです。多くの場合、待機期間はおおむね3ヶ月程度です。万が一待機期間内に死亡した場合、保険金は受け取れません。
商品によっては3カ月よりも長い待機期間を設けているものもあるため、加入前に確認するようにしましょう。
途中で解約すると保険金は受け取れない
葬儀保険は掛け捨て型の保険です。保険金を受け取る前に解約した場合、基本的に支払った保険料は戻ってきません。その分、一般的な貯蓄型の生命保険と比べると保険料が割安というメリットはありますが、保険の中には保障を受けながら貯蓄ができる終身保険や養老保険のようなものもあります。保険に何を求めるのかによって、合う保険は異なるといえます。
また、葬儀保険によっては更新のたびに保険料が上がるため、将来的に払い続けられる金額かも確認すべきポイントです。
80歳が葬儀費用に備える方法
葬儀保険以外にも葬儀費用に備える方法があります。80歳であれば、選択肢は限られますが加入できる生命保険もあります。
葬儀の費用に備える方法を3つ紹介しますので、それぞれのメリットやデメリットを葬儀保険と比べてみましょう。
養老保険
養老保険は、死亡保障と貯蓄の2つの機能を持った保険です。万が一の死亡の際には死亡保険金が、保険が満期を迎えた場合は満期保険金が受け取れます。
養老保険では数百万円から数千万円といった大きな金額を保険金として設定できます。葬儀保険では保険金が不足すると考える人におすすめです。
終身保険
終身保険は、一生涯保障が続くことが特徴の死亡保険です。解約返戻金の制度があるため、解約すると加入していた期間に応じた金額が受け取れます。理論上いつかは保険金が受け取れる仕組みといえます。
葬儀保険は、掛け捨てかつ保険期間に定めがあるため、保険金が受け取れない可能性もあります。掛け捨ての保険料がもったいないと感じる人は、終身保険を検討してみましょう。葬儀保険では保険金が足りないと言う人にもお勧めです。
貯蓄
80歳から葬儀費用に備える場合、保険に加入する代わりに貯蓄するのもひとつの方法です。葬儀保険の保険料は毎月数千円から10,000円程度のことが多い一方で、受け取れる保険金は最大で300万円です。保険料と保険金のバランスを考えると、自分で貯蓄をするほうがよいと思う人もいるでしょう。
ただし、貯蓄があるとつい使ってしまうという人は、毎月口座から引き落としが行われる保険のほうが合っている場合もあります。
まとめ
葬儀保険は加入できる年齢の上限が高く、また健康状態に関する審査基準がゆるいものが多いため、高齢でも入りやすいのが特徴です。80歳の人であれば加入できる葬儀保険は多いでしょう。
一方で、葬儀保険に終身保障がないことや保険金が少ないことなどが気になる人には、養老保険や終身保険といった生命保険もおすすめです。80歳でも加入できる商品を検討してみてはいかがでしょうか。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。