著名人・専門家コラム

2023.01.31

過去に起きた保険金不払い問題を解説【住宅FP関根が答える!Vol.43】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。

今回のコラムでは過去に実際に起きた保険金不払い問題についてお話いたします。2007年くらいでしたが、国内生保で大きな問題が起こりました。保険金不払いの大量発覚です。どういった事件だったのか、またなぜこういったことがおきてしまったのかを解説していきます。

どのように保険金は不払いになったの?

保険会社はどのようにして保険金を支払わなかったのでしょうか。答えを先に申し上げると保険会社は告知義務違反を理由に保険金を支払いませんでした。

保険を契約する際、契約者は自らの健康状態や過去の病歴などを告知します。そして、この告知義務を怠った場合、保険会社は「契約から2年以内であれば保険金の支払いを拒否することができる」と規定されています。ただ一方で、この2年を超えていても保険金の搾取が目的だった場合など違法性が強い場合や告知義務違反の内容が重要である場合においては、その期間を経過していても「詐欺無効」として支払いを拒否できるとされています。今回の不払いは詐欺無効として処理されていました。

そしてこの国内生保の不払い問題ですが、過去5年間において詐欺無効を理由に死亡保険金を支払わなかったのが213件でした。しかし、後からその213件のうち162件が、本来支払うべき契約だったということが分かりました。

詐欺無効の理由は?

どうしてこういったことがおきてしまったかというと、通常契約の際に、告知をしてもらうことになります。その時に保険募集人が健康状態を確認するのですが、契約成立に不利になる情報を告知しないよう勧めるなどして不当な募集を行い、契約を成立させておきながら会社としては、「告知義務違反だ!」として、先ほどの詐欺無効を理由に保険金の支払いを拒否したという事件でした。

その後、これは社会問題となってしまい金融庁が不払いの発覚した国内生保に対し業務改善命令及び、業務停止命令をだしました。この時点では、生保業界における不払いの問題は問題になった一社だけだと思われていたのですがその後、別の保険会社でも同様の支払漏れが発覚しました。さらに、別の国内生保では書類の改ざんによる保険契約の不正解除が発覚しました。

最初の事件発覚後から2年後、金融庁が国内すべての生保、これ38社あるのですが、過去5年間における保険金の支払漏れがないのか、報告するよう要請措置をとりました。その結果、全社合計で約120万件、約910億円の支払漏れがあったと発表されました

その内訳は、

  • 事務的なミスによる、給付金の支払漏れ
  • 三大疾病特約の、支払いがあるにも関わらず契約者への案内が、不十分だったため
  • 契約者が「請求漏れ」をしていた場合があった

不払いがあった理由は?

かつて保険業界は、「護送船団方式」による金融行政の下で保護され、各社が同一の保険料に基づく類似の商品を販売していたが、平成10年に保険料率が自由化されると、商品開発・販売競争が激化しました。各社は、独自の商品や特約を相次いで増やし、商品の多様化・複雑化が急速に進んだがその一方で、営業職員や代理店の商品理解は追いつかなくなり、膨大な支払漏れ、保険料の取り過ぎの発生につながったとされています。

不払いの根底にあるのは契約者を軽視した、業界体質の問題があると言われていました。当時よく言われていたのは、保険会社は営業職員や代理店に対し大きなノルマを課していたということです。これは本当に有名な話で、これによりきめ細やかな営業をやらずに雑な販売を繰り返していったことが原因の一つと言われていました。

請求主義という根底

私からすると、別のところに原因があると考えます。それは「保険金というものは、契約者から請求を受けて初めて支払うもの」ということが関係しています。これ、「請求主義」といいます。つまり、「保険契約したあなた、本人が請求をしてもらえないとこちらからお知らせすることはございません」ということです。

これは当たり前のように思えますが、ここからが確信の部分です。皆さんは、いま加入している保険ってどういう時に、支払われるかご存じですか。死亡したら、入院したら、手術したら、がん診断されたらなど保険支払事由はいろいろとありますが、その詳しい部分を知らない人が多いです。

それが当時、特に問題になった3大疾病特約です。3大疾病特約はがん、心筋梗塞、脳卒中になって保険会社所定の状態になった場合例えばですが、50万円、100万円とか支払われる特約になります。
この特約を請求しない人が非常に多くいました。なぜ、請求しないのでしょうか。理由は簡単で、自分がどんな保険に加入しているのか理解していない人が多かったからです。

あの頃、2000年代前半は私たちのような、独立系FPは本当に少なかったです。私が主に活動していた茨城なんて、おそらく茨城全体で3つか、4つしかありませんでした。そのため当時、保険に加入するというのは国内生保のお昼休み営業がメインでした。ほかにも友達、親戚営業から、内容も分からずに加入してしまうパターンも多かったです。入院や死亡などは分かりやすいですが、3大疾病の特約は分かりにくいものです。3大疾病にかかったときにも、自分が加入していることを知らずに請求をしなかったという人がたくさん出てしまいました。

それ以降、意向確認書という書類ができ、保険募集人が進めた商品と、契約者様のニーズが合致していることを確認する書類が追加されました。私からすると、まじめに仕事をしている中で、契約書類が1枚増えてしまい勘弁してくれという気持ちです。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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