著名人・専門家コラム
2023.06.13
年収や貯金が多い人は保険必要ないって本当?【住宅FP関根が答える!Vol.56】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
以前は働きはじめたら保険に加入するというのは自然な流れだったように思いますが、最近では若い人を中心に、生命保険不要論が語られることも多くなりました。その中で、貯金がたくさんある、年収が多いなどの理由で、保険に加入する必要がないと話されることも多くなってきたように思います。それは本当なのでしょうか。今回のコラムではこの辺りについて解説していきます。
本当に保険は必要ないのか?
これに関して個人的な意見としては、一部正解ではありますが、その過程ごとによって違うため、必ずしもそうとも言い切れない部分もあります。そもそもですが、保険と一口にいっても種類がたくさんあり、家族を養うための収入保障保険、入院したときに必要な医療保険、がんに罹患した場合に必要ながん保険等、保障内容は様々です。順番に考えていきたいと思います。
収入保障保険が必要な人、不要な人
収入保障保険ですが、これは万一、ご主人様、もしくは奥様が亡くなられてしまった場合、残されたご家族が生活に困らないかという部分が大切になります。必要な生活費というのは、日々の生活費、子供の教育費、残された家族の老後の費用や、車の買い替えなど、様々考えられます。
例えばご主人様が亡くなり、奥様が子供を抱えシングルマザーになったとします。ご主人様が厚生年金に加入しており亡くなられた場合、残された家族は、遺族厚生年金、遺族基礎年金を受け取ることができます。この時残されたご家族が、十分な貯蓄があり、また奥様自身に生活に困らないだけの収入があれば、収入保障保険に必ずしも加入している必要はありません。
これに関しては、必要保障額の算出をするとすぐに出てくるのですが、これも子供が1人の場合と2人の場合で全く違いますし、シングルマザーになっても、子供を大学までいかせてあげたいか、シングルの場合には高卒までで良いかなど、そういった条件によって全く違ってきます。
イメージする必要があるのは、もしご主人様に万一のことがあり、奥様がシングルになられた場合、どういう生活をしたいのか、どういう進学を準備してあげたいのかということです。今後奥様の収入はどれぐらいなのか、さらにその時の預貯金額を考慮し、それでお金が足りているようでしたら、必ずしもご主人様の収入保障保険は必要だとは思いません。
私もよく公務員のご夫婦のライフプランなどを作ることもありますが、ご主人様に先立たれた場合の計算をしたい。奥様が公務員の場合、年収も多く、計算をするとご主人様の収入保障保険は必要ないという結果が出る場合もよくあります。こういった必要保障額の算出をすることにより、収入保障保険が必要ではない場合が分かります。
医療保険が必要な人、不要な人
次に医療保険です。健康保険適用の治療を受けた場合、基本的に3割負担、さらに負担額が多い場合には、高額療養費制度の対象になるため、最終的な負担額は意外と少なくなるのも事実です。そのため預貯金額が多い場合には、家計に占める医療費の割合も少なく、医療保険は必要ないとなることが多いです。
一方で、最近の動きで気になるのは、若い方々の医療保険不要論です。ある程度預貯金額がある方でしたら、入院をした場合でも、最終的な自己負担額は、預貯金で賄えると思いますが、やはり若い方というのは、そこまで預貯金を持っていない方も多いです。その場合、入院をした場合の自己負担額、自分自身の収入や、預貯金額から考えると、負担割合は多くなってしまいます。本来でしたら医療保険というのは、お金に余裕がある人は入る必要がありませんが、収入や預貯金額等で不安がある人ほど、病気になった時、怪我をしたときの家計に占める負担額が大きくなってしまうため、保険加入をお勧めしたいです。
がん保険が必要な人、不要な人
最後にがん保険ですが、がん保険も医療保険と同じで、標準治療といわれる3割負担の治療を受けた場合、高額療養費も含め、負担額はそれほど大きくならないことが想像されますが、がんというものは現在治療方法の進化がとても早く、新しい治療方法がどんどん出てきています。そしてそういった新しい治療方法というのは自由診療になることが多く、そのため1回の治療にかかる費用は数100万円ということもザラです。例えば家系ががん家系であるという場合など、がんに心配がある方に関していうと、保険に加入することをお勧めしたいです。
また女性に関しては、私は必ずがん保険を提案しています。国立がん研究センターの発表によると、女性の9人に1人は乳がんになるのですが、そのがんに罹患するピークは40代から50代にやってきます。40代50代っていうのは、子育て真っ盛りの時期、お子様の教育費がかかる時期、そしてまだ住宅ローンはもちろん終わっていません。これから子供の学費が本格的にかかる時期において、もし自由診療を選び、数100万円単位のお金がかかるとなったときに、そのお金が用意できるのかということです。そういったリスクを考えると、現在はがん保険も共済並みの保険料で入れる商品もたくさんあります。そういった保険を検討しておくのも良いのかと思います。
まとめ
収入が多い、預貯金が多くある場合に、生命保険は必要ないのかというと、収入保障でいうと必要保障額の計算をした上で決める必要がありますし、医療保険に関しては、確かに預貯金で賄える場合は多いと思います。がん保険に関しては、がんが心配である場合はお勧めしたいですし、女性の場合は、私自身はいつも提案をしております。そして最後になりますが、やはり保険と言うものは万一の時に困ることがないように入るものです。収入が多いので安心だと思えるかもしれませんが、病気につき収入が落ちる可能性もあります。また子供を抱えてシングルになられた場合、残業のあまりない部署に配置転換される可能性もあります。そういった部分も考慮しながら選んでいく必要があります。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。