著名人・専門家コラム

2022.05.23

年1回の人間ドック(健康診断)が持つ生命保険へのメリット【FPコラム】

新年度を迎えると、会社から定時健康診断のお知らせが届きます。公的健康保険制度を運営する協会けんぽから各事業者にお知らせが届くためです。ところが4月は新年度で忙しい時期です。30代や40代の現役世代は、この健康診断への対応が2つに分かれます。オプション検査までを加えて徹底的に調べるタイプと、「まあいいさ」と適当に受けるタイプ。もちろん人生のリスクヘッジにおいては前者の方がいいのですが、生命保険の視点からも診断を受けるメリットがあります。

人間ドックによる早期発見と告知義務

人間ドックで異常が見つかると、再検査を勧められます。読者のなかにも改めて医療機関を訪れた経験があると思います。その結果入院や手術になることもありますが、日常生活のなかで「あれ、〇〇が痛いな」と何かしら異常を覚えて医療機関を受診するより、早期発見の可能性が高いです。生命保険においても、これが最大のメリットです。

生命保険の加入時には「告知義務」があります。それまでの病気の履歴(既往症)を保険会社に申告するもの。放っておいたら重篤な病気のリスクがあるものを早期発見によって拾うと、結果的にメリットがあります。たとえば高血圧の疑いがある初期の場合と、狭心症の疑いまで至っている場合は保険会社の判断も異なり、加入ができないケースや、引受緩和型(既往症向けの生命保険)の引受グレードが上がり平準よりも保険料が高くなるケースがあります。

また定期保険の場合も注意が必要です。終身型と異なり、定期型の医療保険は一定期間ごとに審査が発生します。長く入っていた医療保険でも、病気の発見が遅れたことで更新ができなくなり、一気に無保険者になってしまうリスク(当然ながら他の保険会社でも加入が難しくなる)があります。年齢を重ねての保険料向上は仕方無いにしろ、教育費や住宅ローン支払い義務を背負った現役世代での医療保険加入制限は特に避けたいところです。

健康重視の人は生命保険料が安くなる?

健康診断で「このままだとマズイですよ」といわれることは、日常生活においてもプラスの効果があります。何よりも大きいのは自制効果です。暴飲暴食や喫煙習慣の見直し、運動不足の解消など、病気の発見以外にも健康習慣の始点となります。50歳から生活習慣を変えるのと、身体に自由が利く30歳から健康習慣を変えるのは大きな違いがあります。ただ日々のストレスのなかでは外圧がないと、なかなか習慣の変化までには至らないもの。この健康習慣は生命保険の世界で大きな話題となっています。それを決定づけたのが、健康増進保険の販売でした。このような健康増進保険は、今後ほかの保険会社に広がるとともに、様々なバラエティに富んだ商品が提供されていくでしょう。

健康増進型保険の特徴とは?

国内生保の提供している医療保険に、健康増進型保険があり注目されています。発売当初から注目を集め、累計申込100万件を突破、人気の保険商品となったというニュースも報じられました。

特徴は独自の健康プログラムを通じて、健康習慣を維持しようとするものです。それまでの更新型医療保険が「審査」ならば、「並走」を目的とした、とても斬新的な医療保険です。昨今の健康習慣の波に乗り、高い評価を得たのもうなづけます。

保険会社にとっても健康診断で異常が見つかった契約者に対して更新ができないことはデメリットです。比較的若い年代から加入して貰える医療保険は加入期間の長さがメリットであることに加え、年齢の低いうちに手ごろな保険料で医療保険を申し込んで貰い、結婚・子育てなどライフイベントの変化で終身保険や学資保険を案内する方がメリットもあります。その入口となる医療保険を並走するこの保険の取り組みは、画期的といえるでしょう。

住宅購入の前には健康に留意を

さらに早期の健康診断は、住宅購入の前にもお勧めです。住宅購入は人生で最も高い買い物であり、ほとんどの方は数十年に及ぶ住宅ローンを組成して購入します。住宅購入後、万が一の病気を罹患して返済不能になることを考慮し、ローンの多くは「団体信用生命保険」に加入します。通称、団信(だんしん)といわれるものです。

ライフプランをしっかりと組み立てて住宅購入の頭金を確保したものの、いざ購入という段階で団信の加入審査でNGが出るという展開は予期できないもの。現役世代だから大丈夫ではなく、定期的に健康診断を受けて問題ないことを定期確認するほか、健康習慣を継続していくことが何よりも大切です。このように健康習慣の軽視は、さまざまな局面で歩みを止めてしまいます。いま見える健康状態はもちろん、将来のライフイベントの円滑さも踏まえたうえで、今年の健康診断を受けるようにしましょう。


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※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤崇

FP-MYS代表。ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。(執筆実績はこちら:https://fori.io/takashi-kudo)

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