著名人・専門家コラム
2022.10.26
生命保険はなぜ、誰のために加入するの?【住宅FP関根が答える!Vol.30】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
突然ですがみなさん、生命保険は誰のために加入するものだと思いますか?割と自分のために入ると思っている方も多いのではないでしょうか。それは全くの誤解です。今回は保険に入る意味、保険の必要性について解説していきます。
保険に入るのは誰のため?
最近は「保険不要論」が言われることが多くなってきましたが保険は誰のために入るのかというところをきちんと理解できていない人が多いが故の考え方とも言えます。保険は決して自分のために入るのではなく大切な家族、自分が守るべき家族のために入るものです。
昔は大人になったら生命保険は加入するのが当たり前と言われていましたし、実際に自分でもそう思っていました。しかし、それはそれでおかしな時代でした。保険は様々なリスクに備えるためのものです。病気リスク、死亡リスク、介護リスク、そしてこれからは現役世代の人が働くことができなくなる就業不能リスク等。保険はいらないと言っている人に共通しているのは、万一の時に何が起こるのかを具体的に考えておらず、いまだに生命保険は自分のために入るものだと思ってしまっているパターンが非常に多いです。
ここでもう一度、生命保険は自分のために入るものでもありますが、一番大切なのは「大切な人のために加入をするもの」であるということをみなさんにきちんと理解していただきたいです。
保険に加入しない人の考え方は?
保険の加入をしようと思わない人は「自分は健康だから病気になんてならないでしょ」ということが多いです。確率論から言うと確かに保険は無駄になってしまいます。
子育て世代ど真ん中の30代、40代の死亡率は35歳で1000人中0.7人、つまり一桁変えると1万人に7人が亡くなることになります。45歳の死亡率は1000人中1.46人、かなり確率が上がってきますね。確率論で言うと低めであることはわかります。しかしながら大切なのはこのように若くして亡くなる人が必ずいるということです。この働き盛りの若いうちに手元にも現金が豊富にある人は良いが、本人が亡くなってしまってから遺族が暮らすのに十分な資金がないということは避けなくてはなりません。何も考えずに「確率低いから加入する必要はない」と加入しないというのは、万一の時、家族を守るという意識がないということと同義です。
また、これも保険に加入しない人の特徴として多いのが、「自分さえよければいい」と思っているパターンです。例えば一番わかりやすいのが入院保険です。入院保障とは言うまでもなく病気になり、入院手術を受けた場合の保障です。世間では「健康保険制度、高額療養費制度が充実している日本では必要ないのでは?」という声もよく耳にしますがあまりにも短絡的過ぎます。現在の社会保障制度がこのまま続くわけがないということくらい誰もが分かっていることなのにそれが理解できていない人が多いということに非常に驚きます。
私はYouTubeでも情報発信を行っているのですが、以前配信したがん保険の動画で「保険に加入をするのではなく、その資金で運用をして儲けを出せばいい。あなたの動画ではその部分に言及されていない」と言われたことがありました。おそらくですがここ数年で運用を始めた人でしょう。
老後に向けた資金運用は大切です。しかしその方は運用で必ずお金が増えていくという前提で考えてしまっています。これもまた、目先しか見ることができない短絡的な考え方です。仮に運用でお金が増えていったとしても大きな病気になりお金を取り崩したら老後の資金はどうするのでしょうか。
入院をする上でかかるお金は入院費だけではありません。大きいのは収入が落ちるリスクです。入院をすると6割以上の人が収入落ちているといったデータもあります。入院をすると会社も休みがちになってしまいます。自分じゃなくても配偶者が入院をすれば休みを取ったり、残業もできなくなってしまったりします。必然的に収入は落ちてしまうと思います。「運用こそがすべての正解」と思ってしまっている人がいますがそういったことを想定できていない場合がほとんどです。
保険は不幸の宝くじ?
「保険会社は必ず倒産をしないように設計されている、だから保険会社が損をしないようにできているんだ」といった主張を聞きますが根本的に間違っています。それを言い始めたらすべてのサービスに同じことが言えます。すべての企業が倒産をしないように商品サービスを設計しているものです。そこができない会社は会社として成立していません。
「保険は不幸の宝くじ」とよく言われますが決してそうではありません。万一の時に、自分自身を助けてくれる「セーフティーネット」です。万一の時にお金が無くなってしまったとします。独身なら生活保護でもいいでしょう。しかし、家庭があってはそういうわけにはいきません。私も子供を育ててきたため思いますが、子供や配偶者につらい思いをさせてはいけない、夫に先立たれたので子供の進学は諦めさせるなどは何があっても避けたいものです。それが計画的なものなら問題はないでしょうが、ただ何も考えずに確率的に死ぬわけないだろうと保険に入らないというのはもう少し現実的に自分自身、そして家族と向き合いましょう。
私のところに相談にいらっしゃるお客様で保険に加入しないという人はほぼいませんが、必要ないと思っている人に無理に勧めることはしません。万一の時に何かあったとしてもそれこそ自己責任です。
みなさんはあしなが育英会って知っていますか?病気や災害、自殺などで親を亡くした子どもたちや、障害などで親が働けない家庭の子どもたちを奨学金、教育支援、心のケアで支える民間非営利団体です。活動内容は大切だしこういった団体に支えられている方がいるのも事実です。ただ病気や事故などで亡くなり、一般的な生活ができない、十分な教育を受けられないというのは親の責任です。私も子供がいますのでこれだけは言いたいです。
保険は誰のために加入をするのか。万一の時に自分を守るためだけではなく、大切な人を守るために入るものです。今一度、保険の必要性見直してみませんか。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。