保険の基礎知識
2023.01.11
妊娠・出産で医療保険や女性保険から給付金はもらえる?加入のタイミングも紹介【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
妊娠・出産は女性の体に大きな負担がかかります。発生する医療費に対して、生命保険で備えておこうと考える人もいるのではないでしょうか。
この記事では、妊娠・出産に関連する費用について、医療保険などから給付金が受け取れるケース・受け取れないケースを解説します。また、妊娠・出産において加入しておきたい医療保険と女性保険について、それぞれの特徴を紹介し、保険に加入するおすすめのタイミングも解説します。妊娠前や妊娠中に役立つ情報をまとめていますので、参考にしてください。
妊娠・出産で保険の給付金は受け取れるケース・受け取れないケース
妊娠・出産では、原則として医療保険などの給付金は受け取れません。出産育児一時金などの支給はあるものの、正常な妊娠や出産でかかった費用は全額を自己負担する必要があります。しかし、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、悪阻(つわり)、貧血などの症状に対応するための医療費は、医療行為として公的健康保険が適用されます。そのため、入院や手術をすれば、現役世代の場合自己負担の上限が3割となります。
また、自然分娩の出産費用に医療保険は適用されないのが原則ですが、異常分娩では医療保険の給付金が受け取れます。異常分娩の例としては、帝王切開や吸引分娩、切迫早産などが挙げられます。つまり、通常の妊娠や出産では医療保険の給付金が受け取れないものの、異常分娩の場合は保障が受けられる可能性があると押さえておきましょう。
妊娠・出産に備えるなら医療保険か女性保険がおすすめ
妊娠・出産時にトラブルがあると処置のために通常よりも多くの医療費が必要です。医療保険や女性保険に入っていれば、妊娠・出産に関する医療費などに備えられます。ここでは、医療保険・女性保険それぞれの特徴を紹介します。
医療保険
医療保険でも、妊娠や出産に伴うトラブルで保障を受けられます。たとえば、切迫早産で入院したり、帝王切開したりすると、入院給付金や手術給付金が受け取れるでしょう。
医療保険のメリットは、原則としてすべての病気やケガが保障対象であることです。妊娠や出産に関連する医療行為であっても、ほかの病気やケガと同じように、あらかじめ定められた給付金が支払われます。また、医療保険では多くの場合、入院給付金日額が5,000円または1万円などと保障の手厚さによって複数のプランが設けられています。妊娠や出産に備えて手厚い保障が必要な場合は、保障金額が大きいプランを選びましょう。ただし、保障金額が大きいほど保険料は高くなります。
女性保険
女性保険は医療保険と同じように病気やケガの治療費をカバーするための保険ですが、女性特有の病気になった際にほかの病気やケガよりも手厚い保障を受けられるのが特徴です。たとえば、入院給付金日額5,000円のプランでは、女性特有の病気による入院に限り、1日あたり1万円が受け取れます。
女性保険では、以下のような病気が女性特有の病気に指定されています。ただし、商品によって内容は異なるため、事前に確認が必要です。
- 子宮筋腫
- 子宮がんや乳がんなど、女性に多いがん
- 妊娠に関する疾患
- 異常分娩
女性保険は、妊娠・出産時のトラブルで入院した場合に、通常よりも上乗せされた給付金が受け取れるのが特徴です。ただし、通常の医療保険よりも保障が手厚い分、保険料の負担は大きいのが一般的です。とはいえ、医療保険で保障が手厚いプランに加入することと比べると、女性保険のほうが割安な場合は多いでしょう。
なお、すでに医療保険に加入している人は、女性保険に入る代わりにいま入っている医療保険に女性疾病特約を付加することで同じような保障が受けられる可能性があります。ただし、主契約である医療保険を解約すると、特約も消滅する点には注意が必要です。
女性保険についてはこちらの記事も参考にしてください。
妊娠・出産に備えて保険に加入するベストなタイミング
妊娠や出産でのトラブルに備えるには、医療保険や女性保険にはいつ加入するのが良いのでしょうか。保険加入にベストなタイミングを解説します。
できれば妊娠前に加入
妊娠・出産の可能性がある女性が医療保険に加入するのであれば、ベストなタイミングは「妊娠前」です。妊娠がわかってからでも多くの場合、保険に加入することは可能ですが、妊娠・出産に関連する保障が対象外になることが少なくありません。そのため、妊娠や出産でのトラブルに備えるのであれば、妊娠がわかる前に保険に入っておきましょう。
また、1回以上出産を経験していると、希望の医療保険に入れなかったり、条件付きでの加入になったりする可能性もあります。たとえば、過去に帝王切開などを経験していると、医療保険に入っても妊娠・出産に関連する保障が受けられないという条件が付けられるかもしれません。妊娠・出産に備えて医療保険に加入したい場合は、妊娠前に加入することをおすすめします。
妊娠中に加入したい場合
医療保険に加入する前に妊娠がわかった場合、医療保険や女性保険に入れたとしても妊娠・出産に関する保障が受けられなかったりすることが少なくありません。しかし、選択肢は限られるうえに保険料が割高になるものの、妊婦でも加入でき、妊娠・出産でのトラブルで保障を受けられる医療保険もあります。
ただし、加入時点で妊娠の経過が順調であることが加入できる条件です。また、妊娠週数によって加入できない場合があります。妊娠27週頃までは加入可能としている医療保険もありますが、妊娠がわかったらできるだけ早めに加入手続きを進めることをおすすめします。
まとめ
妊娠・出産時は基本的に医療保険が適用されませんが、妊娠糖尿病や帝王切開など、トラブルの際は保障が受けられます。特に、女性保険は妊娠・出産でのトラブルで手厚い保障が受けられるのが特徴です。
妊娠・出産に備えるのであれば、できるだけ妊娠前に保険に加入しましょう。妊娠がわかってからでも医療保険などに入ることは可能ですが、妊娠・出産に関連する医療費が保障対象外とされる可能性があります。
この記事を参考に、妊娠・出産でのもしもに備えて医療保険や女性保険への加入を検討してみましょう。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。