保険の基礎知識
2022.04.13
ネットで入れる生命保険はどんな人におすすめ?デメリットや注意点を解説【FP監修】
従来の生命保険に加入する方法は対面がメインでしたが、昨今ではネット保険の台頭により、インターネットを通じていつでもどこでも生命保険に申し込みができるようになってきました。
特に「生命保険に加入したいが、時間をうまく作れない」といった方におすすめです。
本記事では、ネットで入れる生命保険のメリット・デメリットを解説します。
ネット保険の特徴を踏まえてどんな方におすすめかを解説していきます。
ネットで入れる生命保険とは?
インターネットで入れる生命保険はネット保険とも呼ばれています。
パソコンやスマートフォンなどから24時間いつでもどこでも保険商品の比較・検討、保険料の見積もり、申し込みまでできます。
ネットで生命保険に申し込みをする際も、基本的な手続きは対面での申し込みの際と変わりません。
加入したい保険商品を選び、職業や健康状態などを告知し、保険金の受取人情報や保険料の支払方法などを入力します。
対面やオンライン面談で手続きする場合との違いは、上記の手続きを担当者の協力のもとではなく、1人で行う必要がある点です。
ネット保険を利用する際は、パソコンやスマートフォンなどの他に、免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類、契約者のクレジットカードまたは金融機関の口座が必要です。
また、保険商品によっては健康状態の告知に加えて、定期健康診断表の提出を求められるケースもあります。最近はチャット等によるサポートも充実してきたので、活用しましょう。
ネットで入れる生命保険のメリット
ネットで入れる生命保険のメリットをまとめます。
保険料が安く抑えられる
生命保険の保険料は設定する保障内容や加入者の状態など、さまざまな要素によって決まります。
その要素の1つに、保険会社の経費が含まれます。
ネット保険を運営する保険会社の場合、経費が少ないため、結果的に安い保険料が成立します。
対面販売の保険会社では、営業担当者の人件費や店舗の運営費などの経費があります。
一方で、ネット保険では、利用者がホームページを通じて保険の申し込みを行うため、営業担当者や店舗などは不要です。
そのため、保険会社の運営に必要な経費が抑えられます。
手軽にいつでも申し込みができる
ネット保険ではパソコンやスマートフォンからいつでも申し込みができます。
そのため、保険会社の担当者と予定を合わせることや店舗に行く必要がありません。
仕事が忙しく、なかなか担当者にあわせて時間が作れない方でも空いている時間に保険の申し込みができます。
また、申し込みだけでなく、保険商品の比較や保険料の試算なども場所・時間を問わずできます。
保障内容がシンプルで選びやすい
ネット保険で取り扱う保険商品はシンプルな保障内容のものが多いです。
対面販売のように、営業担当者が保険商品の説明を行う機会がないため、保険の知識があまりない方でもわかりやすい商品設計を保険会社側が意識しています。
シンプルな保障内容なため、加入時に選びやすく、加入後も何のための保険かわかりやすい点がメリットです。
営業担当者と対面で会う必要がない
対面販売の場合、営業担当者との面談が必須です。
おすすめの保険商品の紹介や商品説明をしてくれる、保険金を請求する際に、担当者に連絡すると手続きがスムーズ、などの利点はあります。
反対に、デメリットとして、セールストークに乗せられて不要な保険に加入するリスクや人と会う時間と準備が必要、頼まれると断りにくい、などが挙げられます。
ネット保険では、営業担当者と会うことなく、上記のようなデメリットがない状態で、生命保険の申し込みができます。
ネットで入れる生命保険のデメリット・注意点
ネットで入れる生命保険のデメリット・注意点を解説します。
メリットと合わせて、ネット保険を活用するかご検討ください。
自分で探す必要がある
対面販売の場合、担当者との会話を通じて、自分に合う保険商品を提案してくれます。
担当者に希望する保障内容や保険で備えたい内容などを伝えると、自分で探さなくても希望に合わせた保険商品を提案してもらえます。
また、保険について全く知識がなく、どのような保険に加入した方がいいのか、どのような備えが必要なのか、といった点がわからない方でも担当者が年齢や家族構成などに合わせた保険商品を提案してくれます。
ネット保険の場合、自分に必要な保障内容を考えた上で、必要な保障を得られる保険を自分で探す必要があります。
インターネット上に、必要な保障内容をシミュレーションができるツールなどもあるため、1人でも問題なく探すことができる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、対面での申し込みと比較すると、担当者のサポートが受けられない分、人によっては負担になると感じる方もいらっしゃるかもしれません。
保険商品や選べる特約の選択肢が少ない
ネット保険では、加入目的に応じた保険を1人で選ぶことになるため、保険商品のわかりやすさが重要です。
わかりやすくするために、営業担当者による丁寧な説明が必要な商品・形式のものはあまり販売されていません。
たとえば、外貨建ての保険や変額保険など、運用成績によって保険金や解約返戻金が変動する保険は取り扱っていないことが一般的です。
さまざまな保険商品の中から自分に合った保険を選びたい場合や、複数の保障を1つの保険に組み合わせた場合などには、営業担当者から提案を受けた方がさまざまな選択肢から選べるでしょう。
手続きを全て自分でする必要がある
ネット保険は申し込みの手続きや保険金の請求手続きなど、基本的には全て自分でする必要があります。
生命保険に関する知識があまりない方にとって、申し込みページに記載されている情報を完璧に理解し、手続きを進めることは簡単ではないかもしれません。
手続きや告知内容などにミスがあると、保険金が請求できない、告知義務違反となり契約が解除されてしまう、といったトラブルに発展する可能性があります。
加えて、結婚した際や引っ越しをした際など、登録情報が変わったときは自分で変更手続きを行わなければいけません。
結婚・出産など、ライフステージの変更に伴い、保険を見直ししたいときも自分で行う必要があります。
このように、対面販売と比較すると、手続きでミスが生じる可能性が高い点と、都度手続きを行う手間がある点がデメリットです。
分からない点は自分で注意して確認を
対面での申し込みの際は、担当者が指摘してくれるような点もネット保険ではご自身で注意してその都度確認しなければなりません。
たとえば、告知の際に迷ってしまい、正しく告知をしていないと告知義務違反となり契約が解除される可能性があります。
告知義務違反となると、保険金を受け取れないことや支払った保険料が戻ってこない可能性もあります。
そのため、申し込みをする前には過去の診察履歴や健康診断書などを整理しておくとよいでしょう。
病気やケガで医師の診察や入院歴などがある場合は、薬や傷病名を正確に告知できるようあらかじめ調べておいた方がスムーズです。
また、保障内容や保険金・給付金が受け取れる場合について勘違いかな?など、少しでも疑問に思った場合は必ず問い合わせをして明らかにしましょう。
ネット保険であっても、電話やチャットなどで問い合わせをすれば説明を受けられます。
ネット保険がおすすめな人
メリット・デメリットを踏まえて、ネット保険での契約がおすすめな人の特徴を紹介します。
シンプルな保険を希望する人
先ほども解説した通り、ネット保険の保障内容はシンプルなものが多いです。
死亡保険であれば、死亡保険金のみといった形が基本です。
複数の特約を付加して、さまざまな状況に対応できる保険が好みの方は向いていません。
安い保険料の生命保険に加入したい人
安い保険料の生命保険に加入したい場合も、ネット保険がおすすめです。
先ほども解説したようにネット保険は対面販売の保険会社より経費が抑えられるため、保険料が比較的安い商品が多いからです。
同じ保障内容でも、経費が少ないネット保険の方が保険料が安くなるケースが多いため、少しでも保険料を抑えたい人にはおすすめです。
保険の加入目的や必要な保障額が明確な人
ご自身の中で、保険の加入目的や保障額が明確になっている場合、保険を探すハードルが低くなります。目的に合う保障を用意できる保険商品を探すだけです。
一方で、保険の加入目的や必要な保障額が明確ではない人は、自身で加入目的を整理したうえで必要な保障を検討する必要があるため、少しハードルがあるかもしれません。
保険会社のホームページで利用できるシミュレーションを利用したり、街にある無料の保険相談窓口で相談したりすることをおすすめします。
保険相談窓口で相談して、相談内容をもとに、ネット保険で申し込みしても問題ありません。
保険の知識が少しでもある人
ネット保険では基本的に自分で保険を選ぶため、保険の知識が多少でもあった方がよいでしょう。
対面での申し込みの場合、担当者が丁寧に説明してくれるケースが多いですが、ネット保険では自身で調べたり読んだりしてしっかり理解する必要があります。
多くのネット保険は、保障内容をシンプルにする、お客さまから見て理解しやすいパンフレットを作る、など工夫されています。
とはいえ、それでも自分で理解するのは難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ネット保険も、保険会社のコールセンターやチャットなどで問い合わせができますが、そもそも何を質問すればいいかがよく分からず、なかなか検討が進まなくなってしまうことも考えられます。
保険に関する知識が十分にあり、1人で保険商品の比較検討から申し込みまでできそうな方におすすめです。
担当者と面談する時間を作るのが難しい人
仕事や家庭の事情などで、担当者と面談をする時間を作るのが難しい方もいらっしゃるかと思います。
加えて、1度の面談で保険の申し込みが終わるケースは少なく、何度か面談の機会を作る必要があります。
ネット保険では保険選びや保険料の見積もり、申し込みなどをいつでもどこでもできます。
そのため、担当者と面談の時間を確保したり、営業時間中の店舗に向かうことが難しい方はネット保険がおすすめです。
まとめ
ネット保険はパソコンやスマートフォンからいつでもどこでも保険の申し込みができます。
安い生命保険に加入したい方や担当者との時間を作ることが難しい方などにはおすすめです。
ただし、ネット保険のデメリット・注意点は事前にしっかりと把握してください。
特に、保険の知識があまりない方の場合、告知を含めた手続きでミスが生じる、保険金を受け取れる条件を正しく把握していなく、保険金をもらえると思っていたのにもらえなかった、というトラブルもあります。
安い保険料に魅力を感じてネット保険を検討している方も、デメリット・注意点を踏まえて、ネット保険の利用をご検討ください。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。