手続きQ&A
2021.08.24
払済保険ってなに? 仕組みやメリット・デメリットを解説
ライフステージの変化によって、家計や経済状況も変わってくるものです。
「お金に余裕がなくて、保険料の支払いが難しい」
そんなとき、貯蓄型の保険の場合では、解約しないで保険料の支払いをストップして、保険期間を変えずに保障を下げて継続できる払済保険という方法があります。
払済保険とはどんなものなのか、仕組みとメリット・デメリットを解説します。
■払済保険とは
・保険料が負担になったら検討を
払済保険とは保険の商品名ではありません。
契約している保険の保険料の支払いを済ませて、保険期間を変えずに保障を下げて継続することです。
その時点での解約返戻金を一時払い保険料に充てるため、契約のために特別にお金を用意する必要はありません。
ただし、払済保険にすることで、もしものときに受けられる保障額は下がります。
また、解約返戻金がないと払済保険への変更はできないため、貯蓄型の保険であることが前提です。
付加している各種特約は消滅しますが、リビング・ニーズ特約は継続するのが一般的です。
解約返戻金が少ない場合や、保険の種類のよっては払込保険に変更できない場合もありますので、前もって契約している保険会社に確認が必要です。
・払済保険の4つのメリット
メリット1:保険料の支払いが不要になる
最大のメリットは、その後の保険料の支払いが不要になることです。
払済保険に変更すると、毎月の(あるいは年払や半年払など定期的な)保険料の負担をなくすことができます。
家族が増えるなど、家計の負担が多くなって保険料の負担が厳しくなったときに活用できる仕組みです。
メリット2:保障を続けられる
払済保険は、保険を解約してしまう場合とは違い、保障が継続できます。
保障額は最初の契約時の内容より減りますが、最低限の保障を確保しながら保険料負担をなくすことができるのです。解約によってまったく保障がなくなってしまうよりは安心といえます。
メリット3:払済後も解約返戻金が増えていく
払済保険は、変更する時点までに積み立てられていた解約返戻金を一時払い保険料に充てます。保険料は払済後も運用が続くため、そこからまた少しずつ解約返戻金が増え、解約したときは解約返戻金を受け取れます。また、満期のある保険の場合は、満期保険金額も変更になりますが、保険料の支払いをストップしたあとも満期まで運用されます。
メリット4:手続きに告知(診査)が不要
加入中の保険を払済保険に変更するのは新規の契約ではないため、告知や診査なしで手続きできます。面倒な手続きがいらないため、保険の見直しのときの選択肢にしやすいです。
・払済保険の4つのデメリット
デメリット1:保障額が減る
払済保険の仕組み上、保障額が減ることがいちばんのデメリットです。毎月の保険料の支払いはなくなりますが、万が一のときに必要な額の保障を受けられない場合があります。変更の際は慎重に考えましょう。
同じ保険料の支払いをストップして、保障を続ける方法で、延長定期保険という方法があります。こちらは、その時点での解約返戻金をもとに、死亡保障のみの定期保険に変更する方法です。 保険料を払い込みはストップしたいが、保障額を下げずに契約を続けたいときに使う方法のひとつです。 死亡保険金はもとの保険と同額ですが、保険期間が短くなることがあります。またもとの特約は消滅します。
そのため、保険料の支払いをストップしたい場合は、貯蓄重視なら払済保険、保障重視なら延長定期保険を検討してみるとよいでしょう。
デメリット2:特約が消滅する
保険契約に、医療特約・介護特約・収入保障特約などの保障を特約としてつけている場合は注意が必要です。払済保険に変更すると、特約は消滅してしまいます。ただし、一般的にリビング・ニーズ特約は継続できますので、前もって保険会社に確認しておきましょう。
デメリット3:払済保険にできない保険がある
個人年金保険料税制適格特約がついている個人年金保険など払済保険に変更できないものがあります。また、「加入後10年間は払済保険にはできない」などの制限が設けられていることもあります。
デメリット4:元に戻すことができない
払済保険に変更した場合、通常は元に戻すことはできません。もしものときに、ほかの掛け捨て型の保険でカバーできるかなど、変更する前に確認しておくことが必要です。
■払済保険を理解して保険の見直しを
払済保険について、仕組みとメリット・デメリットをご紹介しました。保険料の支払いをストップしたいときには最適な仕組みですが、保障額が下がることで将来の安心が減るなどデメリットもあるので慎重に検討するのがおすすめです。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。