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2025.04.22
専業主婦(主夫)でも保険は必要?その理由とは【住宅FP関根が答える!Vol.144】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさん、保険は現在ある収入を万一の時に補填するものだと思っていませんか。そういった保険の入り方をしている方も多いと思います。間違いではありません。しかし、基本的な保険の考え方は遺族の生活を守ることだということです。そのためには専業主婦(主夫)も例外ではありません。今回はこの専業主婦(主夫)の保険に対する考え方についてお話していきます。
専業主婦(主夫)でも保険が必要な3つの理由
家事・育児の価値
専業主婦(主夫)にも保険が必要な理由は大きく分けて3つあります。まず1つ目の理由は家事・育児の価値は意外と大きいということです。専業主婦(主夫)が担う「家事」「育児」「介護」は、金銭に換算すると大きな負担になります。仮に専業主婦(主夫)が亡くなってしまった場合、家事代行や保育サービスを利用することになり、今まではかかっていなかった経済的な負担が発生します。
具体的な金額を言うと地域などにもより異なりますが、家事代行サービスは1時間3,000円前後が多く、1回2時間、週に2回サービスを利用した場合、月約5万円程度となります。ベビーシッターは1日4時間、月20日利用した場合、月約20万円程度、さらに保育園の延長保育が月約3~5万円程度のことが多いです。子どもがある程度大きくなってからはベビーシッターや延長保育は必要なくなるかもしれませんが、子どもが小さいうちは育児にお金をかけざるをえない可能性が高いです。仕事を続けながら家事・育児をすべて負担するのは難しいため、これらの支援を受ける費用をカバーするために生命保険が必要になります。
葬儀費用や生活費負担
そして2つ目の理由は葬儀費用や遺族の生活費を負担するためです。万一のことがあった場合には葬儀費用がかかります。葬儀費用は一般的に150万~200万円程度となっており、貯蓄が十分でない場合は、この費用をまかなうための保険があると安心です。また、残された遺族は、いきなりシングルとなり、働きながら子育てや家事をこなすのは難しいため、一時的に働き方を変える必要が出てくるかもしれません。そういったときに、一定期間の生活費を補えるようにしておくと安心です。
貯蓄だけでは足りないケース
そして3つ目の理由は貯蓄だけでは足りないケースがあるということです。「貯蓄があるから保険は不要」と考える人もいますが、貯蓄は急な出費や将来の教育費・老後資金などに充てるためのお金です。特に、子どもが小さい家庭では、保険で最低限の保障を確保しておく方がリスク管理として有効だと考えます。
専業主婦(主夫)に必要な保険
では具体的に、専業主婦(主夫)にはどういった保険が必要になるのでしょうか。専業主婦(主夫)の保険は子どもの有無、またその子どもの大きさによって異なります。子どもがいない場合に必要になるのは葬儀費用です。そのため、終身保険などで葬儀費用を用意することをお勧めいたします。
子どもが小さい場合、必要になる保障額は子どもが小さければ小さいほど大きくなります。未就学児の場合にはベビーシッターや延長保育などでさらにお金がかかるので、万一の場合、葬儀費用だけでなく収入保障保険など、それ以降の遺族の生活を保障しておく必要があります。
また、子どもがある程度大きくなってきた場合にはベビーシッターや延長保育などが必要なくても、今までとは同じ働き方ができない場合もあります。働き方の見直しが必要になり部署を移動するなど、収入が落ちてしまう可能性もあります。そうした収入減少などに備えるために、終身保険と併用して収入保障保険に加入することもお勧めいたします。また、定期保険も必要な期間だけ保障を確保できるため、専業主婦(主夫)の方へお勧めの保険です。
そして専業主婦(主夫)の生命保険を選ぶときのポイントについてお話します。まずは最低限の保障に絞るということです。専業主婦(主夫)は収入がないため、高額な保険料を支払うのは負担になります。必要最低限の保障を確保しつつ、家計に負担をかけないというバランスが大切です。次に、貯蓄と併用するということです。保険はあくまでリスクに備えるものです。貯蓄が十分にある場合には最小限の保障にし、その分を貯蓄に回すのも良い選択肢です。
専業主婦(主夫)に保険が不要なケース
では逆に、生命保険が不要なケースはどういった場合でしょうか。まずは十分な貯蓄がある場合です。葬儀費用や一時的な生活費がまかなえる場合、保険は必須ではありません。さらには配偶者の収入が高く、家事・育児を外注できる余裕がある場合です。 配偶者の収入が高く、万が一のときに家事代行やベビーシッターを雇える場合は、生命保険に頼らなくても良いでしょう。また、すでに配偶者の保険に「家族収入特約」がついている場合、専業主婦(主夫)の万が一の際にも一定の保障が受けられるため、保険に加入することは必須ではありません。
まとめ
専業主婦(主夫)でも生命保険が必要なケースがあり、特に小さい子どもがいる家庭では検討することをお勧めします。家事・育児の代替コストや葬儀費用を考慮して、最低限の保障を確保するのがポイントです。おすすめは「定期保険」や「収入保障保険」、「終身保険」などです。貯蓄が十分ある場合や、配偶者の保険でカバーできるなら不要な場合もあるため、家庭ごとの状況に合わせて、本当に必要な保障を見極めることが大切です。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。