保険の基礎知識

2023.05.02

県民共済とは?仕組みや生命保険との違いを解説【FP監修】

監修者情報

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。

県民共済とは、各都道府県の生活協同組合(生協)が運営している保険事業です。保障内容は主に死亡保障と入院保障であり、生命保険と似た面もあります。一方で、県民共済と生命保険には多くの違いがあり、その一つが住所や勤務先がある都道府県の共済にしか加入できないという加入資格の制限です。

この記事では、県民共済の仕組みと生命保険との違いについて詳しく解説します。

県民共済の仕組み

県民共済は「加入者同士がお金を出し合い、加入者のうちの誰かにもしものことがあった時はお金が支払われる」仕組みです。

生命保険でいう保険料を掛金、保険金や給付金を共済金と呼ぶなど、用語に違いがあることを除けば県民共済と生命保険には共通点が多くあります。

しかし、最も大きな違いは生命保険会社が基本的に営利目的で運営されているのに対して、県民共済は非営利であることです。

そもそも県民共済を運営している生協とは、組合員が商品やサービスを利用するとともに運営にも参加することで成り立っている非営利目的の組織です。そのため、生協によって運営されている県民共済も加入者同士の助け合いの精神のもと、非営利目的で運営されています。

県民共済の商品

各都道府県に存在する生活協同組合は、それぞれ独自に運営・組織されています。そのため、県民共済の商品は地域の生協ごとに異なりますが、ここでは例として東京都内に住んでいる、または勤務している人が加入できる都民共済の商品を紹介します。

なお、年齢や健康状態などの制限はありつつも基本的には誰でも加入できる生命保険に対し、県民共済は住所または勤務先がある地域の生協が運営するものにしか加入できません。

東京都以外に住所や勤務先があり、県民共済に興味がある人はぜひ地域の県民共済に資料請求などをしてみてください。

都民共済では、生命保険型の商品として年齢別に以下の7つの商品を提供しています。

  • 子ども型(0〜満17歳向け)
  • 総合保障型/入院保障型/総合保障型+入院保障型(満18〜満64歳向け)
  • 熟年型/熟年入院型/熟年型+熟年入院型(満65〜満69歳向け)

いずれも入院保障と死亡保障が含まれており、プランによって保障の手厚さが異なります。また、満18歳以上が加入できるプランには、特約を付加することも可能です。特約には医療特約・新がん特約・新三大疾病特約・介護特約などがあります。

また、この記事では詳しく取り上げませんが、県民共済によっては火災保険、傷害保険などを取り扱っている場合もあります。

県民共済と生命保険との違い

県民共済と生命保険は、死亡保障や入院保障など「もしもの時」に備えられるという点が共通していますが、違いもあります。ここでは、県民共済が生命保険と大きく異なるポイントを5つ解説します。

  • 掛け金が安い
  • 手続きが簡単
  • 保障内容がシンプル
  • 保障額が少ない
  • 住んでいる地域などによっては加入できない

掛金が安い

生命保険と比べると掛金が安いのは県民共済の大きな特徴の一つといえます。都民共済の場合、基本保障に対する毎月の掛け金は1,000円〜4,000円です。加えて、県民共済ならではの仕組みである割戻金により、実質的な負担はさらに少なくなる可能性があります。

割戻金とは、決算で剰余金が発生した際に加入者が受け取れるお金のことです。生命保険であれば剰余金の一部は生命保険会社の利益となりますが、非営利目的である県民共済では余ったお金を加入者同士で分け合う仕組みがあるのです。

また、生命保険と違い、年齢にかかわらず掛金が一律であることも県民共済の特徴です。一般的な生命保険では、特に年齢が上がってから加入する場合は保険料が高額になることも珍しくありません。

ただし、県民共済に加入できる期間には制限があることには注意が必要です。死亡保障・入院保障ともに85歳が上限とされていることが多く、上限年齢を過ぎると加入・更新ともにできません。

手続きが簡単

県民共済には簡単な手続きで加入できます。必要なものは健康状態の告知のみで、医師の診断書や健康診断書の提出は必要ありません。

一般的な生命保険に比べると審査基準がゆるいといえるため、県民共済は特に持病がある人や病歴がある人にとってメリットがあります。

保障内容がシンプル

県民共済は全体的に保障内容がシンプルなのが特徴です。死亡保障や入院保障、三大疾病に対する保障など、複数のコースから選べる県民共済もありますが、生命保険と比べると選択肢は多くありません。

また、県民共済では毎月の掛け金と保障金額の組み合わせがあらかじめ決まっているため、簡単でわかりやすいというメリットがあります。一方で、生命保険のように各自のニーズに合わせて保障金額や特約などを細かくカスタマイズするのは難しい点はデメリットといえるかもしれません。

また、県民共済には終身保障がないのも生命保険との大きな違いです。県民共済の保障はどれも1年単位の掛け捨て保険(定期保険)で、加入上限は最大でも85歳程度です。それ以降は保障がなくなってしまうため、生涯にわたる保障がほしい人は生命保険を選ぶのがよいかもしれません。

保障額が少ない

県民共済は保障金額が最も多いプランでも、死亡保障は2,000万円程度です。プランによっては5,000万円や1億円などの高額な保険金額を設定することも可能な生命保険に比べると、保障金額が少ないという特徴があります。

また、県民共済の場合は年齢が上がると保障金額が下がる点も注意が必要です。たとえば、都民共済の総合保障4型(月額4,000円)の場合は、18〜60歳までは死亡保障の最大額は2,000万円です。しかし、同じプランでも61〜65歳の人は最大額が1,400万円に下がります。

なお、65歳を超えた人が加入できる熟年型4型(月額4,000円)の死亡保障額は最大400万円で、以降は70歳から最大300万円、80歳から100万円に設定されています。

県民共済に加入を検討する場合は、貯蓄や家族の状況などから保障金額が十分かどうか判断するようにしましょう。

※参考:都民共済

住んでいる地域などによっては加入できない

生協は47都道府県すべてに存在してますが、県民共済があるのは43都道府県に限定されています。沖縄県・徳島県・高知県・島根県には県民共済の組織がありません。住所も勤務地もあるこれらの地域にある人は、県民共済に加入できない可能性があります。

まとめ

県民共済に加入すると、生命保険よりも安い掛け金で、万が一の入院や死亡などによる経済的なリスクに備えられます。一方で、保障金額が少ない点や地域によっては加入できない場合もある点には注意が必要です。

県民共済は月々の掛け金を抑えながら万が一に備えたい人にはおすすめの商品といえます。しかし、必要な保障内容や金額によっては、生命保険のみ、もしくは県民共済と生命保険の両方に加入することを検討したほうがよい場合もあるかもしれません。一般的な生命保険の商品とも比較したうえで、自分のニーズに合った保険を選択してみてはいかがでしょうか。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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