保険の基礎知識

2021.07.23

医療保険とは?公的医療保険の種類と民間の医療保険との違いを解説

ケガや病気になった際に保障を受けられる医療保険。公的な医療保険と民間の医療保険があり、さまざまな面からサポートを受けることができます。 

しかし、「公的医療保険ってなに?」「民間の医療保険とは何が違うの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか? 

この記事では、公的医療保険の保障内容や種類、民間の医療保険との違いについて解説していきます。
私たちが加入している公的医療保険について理解を深めていただき、民間の医療保険の選ぶ際の参考になれば嬉しいです。

公的医療保険とは

私たちがケガや病気になった際に医療費の一部を公的に負担してくれる仕組みが「公的医療保険」です。
「公的医療保険」は国民全員が加入する「国民皆保険」という制度で、全員が必ず加入する医療保険として成り立っています。
 
つまり公的医療保険は、国民みんなで保険料を出し合って、医療費負担をみんなで担うという仕組みです。 

医療費の一部を負担してくれる仕組み

公的医療保険は、ケガや病気などの医療費負担を軽減できるほか、収入が途絶えた場合にサポートしてくれる制度もあります。

自己負担が軽減される

公的医療保険によって、一般的な医療を受ける際にかかる費用の自己負担は、現役並み所得者で3割です。
残りの医療費は、みなさんが毎月支払っている保険料や税金などから支払われています。


厚生労働省HP 医療保険 > 平成18年健康保険法等の一部改正について > 平成18年度医療制度改革関連資料 > 高齢者医療制度 > 医療費の自己負担より抜粋

病院の受付窓口での保険証の提示は、「公的医療保険に加入していますよ」ということを示すためにしているわけです。

高額療養費制度

3割の負担といっても、高額な医療費がかかり1カ月の自己負担額が一定金額を超えた場合は、「高額療養費制度」によって超えた分が払い戻されます。
この制度の自己負担限度額は、年齢と所得によって1カ月あたりの負担限度額が定められています。

傷病手当金

「傷病手当金」は、ケガや病気により会社を休まざるを得なくなった場合、その間の収入を保障するものとして手当金を受け取ることができる制度です。 

ただし、「傷病手当金」については、一部の公的医療保険では受けられないケースがありますので注意が必要です。

なぜなら公的医療保険にはいくつかの種類があり、保障される内容が少し異なるためです。

公的医療保険の種類

加入する公的医療保険の種類は、主に以下の3つに分けられます。

  • 国民健康保険
  • 健康保険(共済保険)
  • 後期高齢者医療制度

それぞれ対象者が異なるため、ひとつずつ解説していきます

国民健康保険 

国民健康保険は、都道府県・市町村が運営しています。
加入者は、自営業者や農業・漁業従事者、パートやアルバイトで職場の健康保険に加入していない人です。
勤めていた会社を退職した場合にも加入する場合があります。

国民健康保険は医療費を負担してくれますが、「傷病手当金」はほとんどの自治体で実施されていません。
また「出産手当金」などの給付も受けられない自治体が多くあるので、国民健康保険の加入者は注意が必要です。

健康保険(共済組合)

健康保険の加入者は民間企業に勤める会社員です。
パート・アルバイトの人でも週の労働時間や収入など一定の条件を満たすことで加入できます。

健康保険を運営しているのは、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と「組合管掌健康保険(組合健保)」です。「全国健康保険協会(協会けんぽ)」は中小企業が多く、「組合管掌健康保険(組合健保)」は大企業が多いのが特徴です。

保障の内容については、医療費負担はもちろんのこと「傷病手当金」や「出産手当金」などを受けることができます。
国民健康保険と比べると、手厚い保障を受けられるのが特徴です。

また、国家公務員や地方公務員、私立学校の職員などは健康保険とは異なる「共済組合」へ加入します。

後期高齢者医療制度 

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方もしくは、65歳〜74歳までの方で一定の障害があると認定された方が加入する医療保険制度です。
後期高齢者に該当する人は、医療費の負担が原則1割(現役並み所得者は3割)です。
 
ケガや病気の際にかかる医療費の自己負担が1割となるほか、入院にかかる諸費用の一部や訪問看護、介護サービス等の利用による負担も軽減されるのが特徴です。

以上のように公的に私たちのケガや病気をサポートしてくれるのが、公的医療保険制度です。
では次に公的医療保険と民間の医療保険の違いを解説していきます。

公的医療保険と民間の医療保険の違い

「公的医療保険」でカバーしきれない部分を補うのが、「民間の医療保険」です。

生命保険会社や損害保険会社が数多くの商品を用意しています。
民間の医療保険は公的医療保険制度と違い、任意加入で商品によって保障内容や保険料などが異なります。 

公的医療保険と民間の医療保険で異なる点は主に以下の3つです。

  • 加入条件
  • 保険料
  • 保障内容

それぞれについて解説していきます。 

加入条件 

公的医療保険は「国民皆保険制度」により、全員が必ず加入する医療保険です。国民は、前半で述べた国民健康保険、健康保険(共済組合)、後期高齢者医療制度に必ず加入することになっています。

一方で民間の医療保険は任意加入です。
公的医療保険だけではカバーしきれない部分があれば加入し、必要がないという人は加入しなくても問題ありません。

さらに民間の医療保険は、加入時に健康状態について告知する義務があり、健康状態によっては加入ができない場合があることも「公的医療保険」との大きな違いです。

保険料 

保険料についても違いがあります。

公的医療保険は、所得に応じて保険料が決められます。

民間医療保険は、職業や年齢、性別などによって保険料が異なります。
病気にかかるリスクが高いと判断されれば保険料が高くなる仕組みになっています。 

保障内容 

保障される内容にも違いがあります。

公的医療保険では保障されない差額ベッド代(入院時に個室などを選んだ時にかかる費用)や、食事代の自己負担分、新しい技術を用いた先進医療を受ける際の医療費などを、民間の医療保険ではカバーできます。

基本的な保障は公的医療保険が担い、その上で必要な保障を民間の医療保険が補うというのが医療保険の全体像です。

民間の医療保険は持病の有無や健康状態などを事前に告知する義務があり、保険に加入できない場合があります。
また年齢に応じて月々支払う保険料が異なる場合もあり、早めに加入する方が保険料が安くなることがあります。 

それでは、民間の医療保険ではカバーできる代表的な費用を解説していきます。

民間の医療保険でカバーできる費用は? 

入院時のベッド代、食事代 

自己負担となる入院時のベッド代や食事代は民間の医療保険でカバーできます。

たとえば、個室や少人数の病室を希望した場合、「差額ベッド代」と呼ばれる費用がかかります。
この「差額ベッド代」は全額自己負担となるため、入院日数が長くなれば負担も大きくなります。
また食事代についても一部自己負担です。

こうした負担を軽減することができるのが、民間の医療保険です。

先進医療を受ける際の費用 

先進医療に分類される新しい技術を用いて治療を行う場合、公的医療保険の対象とならず全額自己負担です。
治療の内容にもよりますが、先進医療の費用はかなり高額になるケースが多いです。
民間の医療保険を活用して保障を受けることで、負担を軽減することが可能です。

入院、自宅療養中の生活費 

入院している間や自宅療養をしている間は基本的に収入が途絶えるため、生活費の負担がかかります。
大きな病気やけがで治療期間が長くなると、その負担はどんどん大きくなってしまいます。

民間の医療保険は、入院日数に応じて給付が受けられるものや、まとまった一時金がもらえるものがあり、医療費だけでなく生活費の不足を補うためにも活用できます。

このように公的医療保険で支給されないお金を補ってくれるのが、民間の医療保険の特徴です。

民間の医療保険の種類 

民間の医療保険は、保障される期間や保険料を支払う期間、特約などを自由に選ぶことができ、自分にあった方法で保障を用意できます。

保障される期間による違いとしては、
・一生涯にわたって保障される「終身医療保険」
・一定の期間を手厚く保障する「定期医療保険」
があります。

保険料を支払う期間による違いとしては、
・一生涯、保険料を支払い続けて、保障も一生涯つづく終身払いの医療保険
・一定期間で保険料を支払い終えて、保障は一生涯つづく短期払いの医療保険
・一定期間だけ保険料を支払い、一定の期間だけ保障を手厚くする定期医療保険
などがあります。

また持病がある人向けの
・告知項目を少なくして加入しやすくした「引受基準緩和型保険」
・健康状態を告知する義務のない「無選択型保険」
なども昨今ラインナップが充実し 、今まで通常の医療保険に加入できなかった方の選択肢も広がっています。

保険会社や保険商品によって、さらに上乗せ保障ができる特約がさまざま用意されています。

まずは、ご自身が入っている「公的医療保険」の保障内容を確認して、足りないものを「民間の医療保険」で補うように検討していくことが大切です。

まとめ

医療保険は「公的医療保険」と「民間の医療保険」から成り立っています。
公的医療保険は、国民全員が必ずどれかに加入していて、医療費の一部を負担してくれます。
民間の医療保険は、任意加入で公的医療保険だけではカバーしきれない入院中のベッド代や食事代、先進医療の治療費や治療中の生活費などを補う役割をしています。
ご自身が加入している公的医療保険の保障内容をしっかり確認して、不足している部分を補うために民間の医療保険を有効に活用しましょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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