保険の基礎知識

2023.05.10

万が一とは? ~南海トラフ地震、首都直下地震~【FP監修】

監修者情報

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。

万が一とは文字通り「一万に一つ」、つまり可能性が非常に低いことを指すのに使われる言葉です。しかし、世の中には可能性は低くても、実際に起こってしまった際に物理的・経済的に大きな影響を及ぼす事柄があります。比較的身近な例でいえば病気やケガによる入院から、大きなものでは巨大地震などの災害が挙げられます。

こうした万が一の事態が起きてしまった際に備えて、経済的なダメージをカバーするために存在するのが保険です。

この記事では、万が一の事態の例として、今後日本で発生が予想されている2つの巨大地震、南海トラフ地震と首都直下地震について解説します。

南海トラフ地震とは

南海トラフは、日本列島のすぐ近くにあるフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界に位置する海域です。2つのプレートの動きにより地震が頻発しているエリアであり、南海トラフを震源とする地震を南海トラフ地震と呼びます。

万が一の巨大地震に備えて

政府の地震調査研究推進本部によると、南海トラフでは過去1400年間に約100年から200年の周期で地震が発生しており、最後に地震が観測されたのは1944年の昭和東南海地震および1946年の昭和南海地震です。

過去に起きた南海トラフ地震の規模はさまざまですが、政府では科学的に想定できる最大クラスの地震を「南海トラフ巨大地震」と呼び、発生に備えています。南海トラフで最後に地震が起きてからすでに70年以上経っていることから、次の地震が今後数十年の間に発生する可能性は高まっているといえるでしょう。

次の南海トラフ地震が巨大地震になるとは限りませんが、政府では万が一に備えて調査・研究や対策を進めているのです。

地震の影響を受けるエリアと想定される被害

南海トラフは、静岡県の駿河湾から紀伊半島の南側の海域・高知県の土佐湾、そして宮崎県東部の日向灘にかけての広範囲にまたがっています。そのため、日本の多くの地域が南海トラフ地震による被害を受けると想定されています。

具体的には、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7、周辺地域では震度6強から6弱の強い揺れがあるかもしれません。

また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸地域では、10mを超える大津波に襲われる可能性もあります。特に、静岡県や高知県では30m以上の津波が来る可能性が想定されています。

ただし、これらの被害予測は科学的に考えられる最大規模の地震である南海トラフ巨大地震が発生した場合のものです。実際には、今後数十年間に発生するであろう南海トラフ地震はこれよりも小さい規模となるかもしれません。しかし、万が一に備えて、対策をすることが大切です。

首都直下地震とは

首都直下地震とは、南関東で発生が予想される大きな地震のことです。首都圏全体に大きな被害が想定されることから、首都直下地震と呼ばれています。

首都直下地震の確率

政府の地震調査委員会は、2014年に首都直下地震の発生確率を今後30年間で約70%と公表しました。これは、1703年の元禄関東地震や1855年の安政江戸地震など、首都近郊で起こった8つの地震を根拠として導き出された確率です。

最後に首都圏で大きな地震が発生したのは、1923年の大正の関東大震災でした。元禄関東地震があった1703年から1923年までの220年間に8回の地震があったこと、最後に地震からすでに100年近く経っていることを踏まえると、近い将来に首都直下地震が起きたとしても不思議ではないでしょう。

地震の影響を受けるエリアと想定される被害

首都直下地震は、地震の規模を示すマグニチュードは7程度、東京23区のうち約6割の地域で震度6強以上を記録すると考えられています。

首都直下地震の特徴は、火災による死者が多く発生すると考えられていることです。あちこちで同時に多数の火災が発生することで、消防活動が間に合わなくなる可能性があるためです。

首都直下地震対策検討ワーキンググループの最終報告によれば、首都直下地震での死者は最大2万3,000人にのぼり、火災による死者はそのうち約7割にもおよぶ可能性があるとされています。

万が一に備える手段として保険を活用しよう

万が一のことに備える方法はいくつかありますが、特に、経済的なリスクに備えるために活用したいのが保険です。たとえば、南海トラフ地震や首都直下地震が起きると、自宅が倒壊したり、海火災や津波の被害を受けたりする可能性があります。

その際、もしも地震保険に入っていれば災害後の生活再建がスムーズに進めやすくなるでしょう。地震保険に加入してると、通常の火災保険ではカバーされない地震や津波などの自然災害による火災や建物の損壊などで保険金が受け取れます。

ここで例に挙げた地震保険のほかにも、保険には生命保険(死亡保険)や医療保険、学資保険など、さまざまな種類があります。それぞれ、のこされた家族などの生活保障・病気やケガでの医療費・子どもの教育費などの経済的リスクに備えるのが目的です。

経済的リスクに備える方法としては貯蓄などもありますが、すぐに大きな金額を用意するのは難しいものです。万が一に備える手段として、保険の活用も検討してみましょう。

まとめ

「万が一」の例として、南海トラフ地震や首都直下地震について解説しました。

南海トラフ巨大地震や首都直下地震は、いつ発生するのか、またどの程度の規模で発生するのかはわかっていません。もちろん、これらの地震がそもそも起こらない可能性もあります。

しかし、2つの地震はもし発生すれば非常に大きな被害をもたらす可能性があるため、日ごろからしっかりとした対策が必要です。このように、起こる可能性が高くなくても、万が一の時には被害が甚大になると想定されることには、保険で備えるのがおすすめです。

この記事では地震を例に解説しましたが、一人ひとりの経済状況や家族の状況などによって、備えるべきリスクは異なります。万が一に備え、自分に合う保険を選んでみてはいかがでしょうか。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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