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2023.06.27

バブル崩壊後、銀行は政府に助けられ、多くの生命保険会社は破綻した謎【住宅FP関根が答える!Vol.58】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
先日、社会を騒がせた米シリコンバレー銀行ですが、破綻をした直接的な原因はシリコンバレー銀行が自身で運用している金利よりも、預金者に支払う金利の方が多い、逆ザヤの状態になっていたことが理由と言われています。ただこの逆ザヤですがバブル崩壊後、日本の保険会社でも同じことが起きていたことがありました。

バブル期~バブル崩壊時の保険会社

バブルの頃によくあったのは、例えば皆さんが一時払いで100万円を支払い、保険に加入したとします。それが20年後に200万円になるという商品はざらで、運用率の良いものは15年で倍になる商品もありました。今では考えられないことなのですが、なぜ昔の保険というものはここまで、お金が増えたのでしょうか?

保険会社は皆さんから預かった保険料を主に国債で運用していくのですが、その国債の利回りが昔は高く、15年で2倍になるような商品を作っても全く問題なく回っていました。しかし1990年代に入ってバブルが弾けると、状況は一変します。株価は低下し、また同時に国債などの債券の金利も低下していってしまいました。バブルの時期に債券の金利が高く、それを前提に満期保険金を計算していた商品でしたが、バブル崩壊後、債券の金利がどんどん下がっていってしまう。こうなってしまっても保険会社は、当初の約束通り15年後には倍の200万円を支払うしかありません。多くの契約者を抱える保険会社にとって、この逆ザヤで発生した費用は会社の利益から充てるしかなく、経営上の大変な重しとなっていきました。

この頃の保険会社というのは少子化にともなう保険契約者の減少もあり、また保険会社が運用している株式、債券の運用率自体も落ちていった時期。業績の悪化が進む中で起きてしまった逆ザヤ問題。ここから、保険会社は一気に体力を奪われてしまいます。

その後、保険会社は債券の利回りが落ちてしまった場合には、市場の金利に合わせて利回りを変動させることができる利率変動型保険を相次ぎ投入していきました。この利率ですが、一般的に適用される予定利率は最低保証が設定されております。

バブル崩壊後、債券環境の急激な変化により保険会社の倒産が相次ぎました。倒産した保険会社は8社あるのですが、それがこちらになります。

倒産した年 保険会社名 引受先保険会社
1997年 日産生命 プルデンシャル生命
1999年 東邦生命 ジブラルタ生命
2000年 千代田生命 ジブラルタ生命
2000年 第百生命 マニュライフ生命(カナダ)
2000年 協栄生命 ジブラルタ生命
2000年 大正生命 PGF(プルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル)生命
2001年 東京生命 T&Dフィナンシャル生命
2008年 大和生命 PGF(プルデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル)生命

こちらのように外資の保険会社に吸収されていきました。

バブル崩壊後の銀行と保険会社への対応の違い

バブルから、バブル崩壊、多くの保険会社が逆ザヤで苦しんだのですが、この問題は銀行でも同じでした。バブルの時期、銀行が保有する株式は多くの含み益がでており、1990年のデータでは、全国の銀行の合計で約50兆円の含み益でしたが、そこから株価が下落していった91年には38兆円、92年には20兆円と縮小していき、ついには98年にマイナスになっています。ここで、経済への悪影響を心配した日本銀行日本銀行は2002年に銀行の保有株式を買い取るという異例の対応をとっています。

またバブル崩壊後社会的な問題となったのは銀行やノンバンクによる不良債権です。銀行が抱える不良債権はバブル経済崩壊直後の1992年時点で8兆円、93年に13兆円、95年に40兆円と膨れあがり、2002年には52兆円と貸出金額に対する不良債権比率は8.6%まで上がっていきました。

これらすべての不良債権を処理すれば、銀行が債務超過にもなりかねない状況になっていくのですが、政府がとった行動は、公的資金を投じ銀行を救うことでした。この公的資金はもちろん、我々が払っている税金です。その額は、合計で38兆円。そして最後は、経営破綻した住宅金融専門会社、通称「住専」に6850億円を投じていきます。ちなみに住専は銀行ではなく、ただの金貸し、ノンバンクです。そのノンバンクを救うために税金が6850億円も投じられていました。

バブル崩壊後、苦しんだのは銀行、ノンバンクだけではなく保険会社も一緒です。そういった中で銀行、ノンバンクには大量の税金が投入され、結果救われました。一方で、保険会社は救ってもらうことはできずに8社が破綻をし、外資系保険会社に買い取られていっています。銀行、ノンバンクと政府の間に何があったのかはわかりませんが、今でも当時を知る生命保険関係者は疑問を持っている出来事です。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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