保険の基礎知識
2022.05.23
女性保険を選ぶポイントは?注意点も解説【FP監修】
女性がかかりやすい病気や妊娠・出産でのトラブルに対して手厚い保障が受けられる女性保険。一般的な医療保険と比較した女性保険の特徴や、加入時の注意点などはあるのでしょうか。
この記事では女性保険への加入を考えている人のために、選び方のポイントと加入時の注意点を解説します。
女性保険の選び方がわからない人はぜひ参考にしてください。
女性保険とは
女性保険とは、医療保険のように病気やケガによる入院や手術で給付金が受け取れる保険です。なかでも乳がんや子宮がんのような女性特有の病気に対し、通常よりも上乗せされた給付金を受け取ることができます。
女性保険の特徴
女性保険の特徴は、乳房や子宮、卵巣などに発生する女性特有の病気による入院や手術で手厚い保障が受けられることです。さらに、妊娠・出産に関連したトラブルも保障対象です。
乳がんや子宮がん、子宮筋腫など、女性特有の病気には20代・30代・40代の比較的若い年代でも罹患率が高いものがあります。また、健康に問題がなくても妊娠・出産でトラブルが起きることはあります。女性保険は、女性ならではのリスクに効率良く備えられる保険だといえるでしょう。
女性保険の保障内容
女性保険では、特定の女性特有の病気などで通常よりも多くの給付金が受け取れます。たとえば、入院給付金が日額5,000円、女性疾病ならさらに5,000円上乗せされるプランを選んだとしましょう。
この場合、骨折での入院では入院1日あたりに受け取れる給付金は5,000円ですが、乳がんのような女性疾病を理由とする入院なら、1日入院するごとに10,000円を受け取れます。
医療保険で入院給付金日額10,000円のプランを選んでも同じように入院1日につき10,000円を受け取れますが、保障が手厚くなる代わりに保険料が上がってしまいます。女性保険は、女性がかかりやすい病気に限定して保障を上乗せするため、医療保険ですべての病気やケガに対して保障を手厚くするよりは保険料を抑えられることが多いでしょう。
女性保険の選び方
女性保険に加入する場合は、加入の目的(何に備えたいのか)を明確にすることが大切です。妊娠・出産に伴うリスクに備えたい場合と女性疾病に手厚い保障で備えた場合に分けてみていきます。
保障範囲を確認する
女性保険は女性がなりやすい病気に手厚く備えられますが、保険会社によって保障内容が異なります。そのため、加入前にカバーできる対象を必ず確認しましょう。保険によっては、子宮がんなどの女性特有のがんだけでなく、すべてのがんを保障対象とするものや、女性に多い鉄欠乏性貧血や関節リウマチ、更年期障害なども幅広く保障されるものがあります。
また、乳がんの場合、切除後の乳房再建手術も保障されていることもあります。保障範囲が広いほど多くの病気に手厚く保障できるため、加入する際は詳細を確認することが大切です。
妊娠・出産に備えるなら加入は妊娠前に
妊娠や出産のリスクに備えたい場合は、妊娠前に加入するのがポイントです。妊娠中に加入できても、すでにわかっている妊娠や出産のトラブルが保障されなかったり、そもそも加入を断られたりすることもあります。また、過去に帝王切開で出産した経験がある人や不妊治療を受けている人は、保険加入を断られたり、条件付きでの加入になったりすることもあります。
女性保険に入る目的に、妊娠・出産でのトラブルに備えることがある場合は、できるだけ早めに加入しましょう。
女性保険に加入する際の注意点
女性保険へ加入する際に注意したいことを3つ紹介します。加入申し込みをする前に確認しておきましょう。
一般的な病気やケガに対する保障は医療保険と同じ
女性特有の病気に対する保障だけで比べると、一般の医療保険で給付金日額が高いプランを選ぶよりも女性保険のほうが保険料を抑えられます。しかし、上乗せ保障の対象でない病気やケガに対する保障は、一般的な医療保険の給付金日額が低いプランと同じです。そのため、女性保険の保険料は割高だと感じられるかもしれません。
保障の重複に注意する
女性保険の保障内容は、一般的な医療保険の内容に女性特有の病気への上乗せ保障を追加したものです。そのため、すでに医療保険に入っている人が女性保険に加入すると、保障が重複します。もちろん、病気になったときはそれだけ手厚い保障を受けられますが、大切なことは保障と保険料のバランスです。
いま入っている医療保険がある人は、女性疾病特約があるかどうか保険会社に確認してみましょう。特約を付加することで、女性保険に入らなくても女性特有の病気への保障を手厚くできます。既に加入している主契約+特約の方が保険料を抑えられることも多いです。
公的保障を確認する
医療保険は病気やケガなどで手術や入院した場合の医療費に備えるものです。しかし、すべてを保険で準備する必要はありません。日本の公的保険制度には、もしもの時の経済的負担を抑えるためのさまざまな制度や手当があります。
女性保険を検討する前に押さえておきたい制度は以下の4つです。
- 高額療養費制度
収入に応じて決められている毎月の医療費上限を超えた場合に、超えた金額を払い戻してもらえる制度。申請が必要で、入院中の食事代や差額ベッド代などは対象外。 - 出産育児一時金
出産する女性に対し、1児につき42万円が健康保険から支給される(産科医療補償制度に加入している医療機関での出産の場合)。 - 出産手当金
出産のために仕事を休む女性に対し、給料の一部相当額が支払われる制度。主に会社員や公務員が加入する健康保険の被保険者が対象。 - 傷病手当金
病気やケガのために働けない期間(最大1年6カ月)、給料の一部相当額が受け取れる制度。主に会社員や公務員が加入する健康保険の被保険者が対象。
保険に入る際はこれらの制度を考慮し、自分に必要な保障額などを決めましょう。
まとめ
女性保険は乳がんなどのような女性特有の病気や、妊娠・出産でのトラブルに対して手厚い保障で備えられる保険です。女性がかかりやすい病気などに効率的に備えられる保険ですが、すでに医療保険に入っている人は女性疾病特約を付加することで同じような保障を受けられることもあります。
女性保険に入る際は他の保険との保障の重複、公的保障の制度などにも注意しましょう。この記事が女性保険選びの参考になれば幸いです。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。