保険の基礎知識

2023.03.13

病気を告知したらがん保険に入れないは本当か|告知違反や告知の必要性【FP監修】

監修者情報

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

がん保険に加入する際には、基本的に年齢や職業、健康状態などの状況を保険会社に伝える必要があり、これを「告知」といいます。保険会社は告知内容をもとに保険に加入できるかどうかを審査するため、がん経験者や持病がある人は、がん保険に入れないのではないかと心配になるかもしれません。

この記事では、がん保険の告知の必要性や告知違反をするとどうなるのかを解説します。また、がんになったことがある人や持病がある人におすすめのがん保険の選び方も紹介しますので、参考にしてください。

がん保険の告知とは

がん保険の契約時には、ほとんどの場合、告知書の提出が必要です。保険契約における告知とは、被保険者(保障の対象となる人)の現在の状況を正確に申告することです。告知が必要な内容には以下のようなものがあります。

  • 身長・体重
  • 年齢
  • 職業
  • 健康状態
  • 既往症

保険会社が告知内容をもとに行う審査の結果次第では、希望の保険に入れないこともあります。この記事では、健康状態に関する告知について解説します。

告知が必要な理由

保険契約に際して告知が必要な理由は、加入者間の公平性を守るためです。がん保険では、がんになった人が受け取る給付金は、加入者が支払った保険料をもとにしています。つまり、保険は加入者同士が万が一の際に助け合うしくみなのです。

保険では一部の加入者だけが損をすることがないよう、加入者間の公平性を守ることが重要です。たとえば、体調に不安がある人と、健康な人では、病気やケガのリスクの高さは異なります。保険加入時の告知は、加入者のリスクの高さをチェックし、公平性を確保する目的があります。そのため、正確に答えることが求められているのです。

がん保険加入が難しいケース

告知内容次第では、保険会社から契約を断られたり、条件付きでの契約を提案されたりすることがあります。特に、以下のような条件に当てはまる人は、がん保険加入が難しくなる可能性があるでしょう。

  • これまで、がんにかかったことがある
  • 3ヶ月以内に、医師による治療や検査を受けた
  • 過去5年以内に、入院や手術を受けた

がんは再発のリスクが高い病気であるため、過去にがんと診断されたことがある人は、一般的ながん保険に入るのは難しいと考えたほうが良いかもしれません。また、がんと関連性の高いポリープや潰瘍性大腸炎などの病歴がある場合もがん保険の加入を断られる場合があります。

一方、がん保険の場合は医療保険と異なり、過去に病歴や入院・手術などを経験していても、がんとの関連性の低い病気であれば加入できる可能性があります。

がん保険の免責期間とは

がん保険には告知のほかにも公平性を保つためのしくみとして、「免責期間」が設けられています。免責期間とは、責任開始日以降でも一定期間内は、がんと診断されても保障の対象外とされる期間で、多くの場合、90日または3カ月程度とされています。

免責期間は、体調不良を自覚している人がそれを隠してがん保険に加入し、加入直後から給付金や保険金を受け取るのを防ぐためにあります。

告知でウソをつくとどうなる?

がん保険に加入するために持病や過去の入院歴などを告げなかったり、偽りの申告をしたりしてはいけません。告知義務違反として、さまざまなペナルティを課されてしまう場合があります。どのようなペナルティが課されるかは、責任開始日からの経過日数や告知違反の内容によって保険会社が判断しますが、たとえば、

  • 契約解除
  • がんと診断されても、保険金や給付金は支払われない
  • 払込済の保険料はかえってこない

などのペナルティがありえます。保険加入者間の公平性を守るためにも、健康状態などは正確に回答するようにしましょう。

持病がある人のがん保険選び

過去にがんになったことがある人や、持病がある人はがん保険に入れないのでしょうか。実は、がん保険加入時の告知項目は商品によって異なるため、あるがん保険に加入できなかったとしても、別のがん保険には入れることがあります。また、がん経験者や持病がある人向けの保険もあるため、諦めずにいくつかの保険を比較してみるのがおすすめです。

がん保険の審査基準は保険会社で異なる

がん保険の加入審査の基準は保険会社や商品によって異なります。過去に入院や手術をしたことがあっても、治療が終了してから数年経過していれば加入できる場合もあります。希望のがん保険に加入を断られてしまっても、ほかの商品であれば入れる可能性はあるため、申込してみましょう。

審査基準がゆるい保険を選ぶ

健康状態が理由で一般的ながん保険に入れなかったという人は、審査基準がゆるい引受基準緩和型と呼ばれるがん保険を検討してみましょう。

引受基準緩和型保険は、過去にがんになったことがある人や健康に不安がある人でも入りやすい保険です。告知項目が少ないため、これまでに手術や入院をしたことがあっても加入しやすいのが特徴です。

また、がんを経験した人のためのがん保険や、無選択型と呼ばれるそもそも加入に際しての健康状態の告知がないがん保険もあります。病歴や持病のために一般的ながん保険に入れなかった人でも加入できる可能性があるため、ほかの保険で断られてしまった人にもおすすめです。

ただし、引受基準緩和型と無選択型のがん保険は審査基準がゆるく、健康状態があまり良くない人も入れる保険であるため、一般的ながん保険よりも保険料が割高です。また、もしもの時に受け取れる保険金も少ないケースが多いため、内容を十分に検討してから加入しましょう。また、審査基準がゆるいのは健康状態に関してのみです。年齢や就業状況など、健康状態以外の理由で加入できない可能性もあることは押さえておきましょう。

まとめ

がん保険に加入する際には、ほとんどの場合、健康状態などの告知が必要です。そのため、過去にがんになったことがあったり、持病があったりするとがん保険に入れないこともあります。しかし、告知で正しい情報を伝えないとペナルティが課されることもあるため、注意が必要です。

健康状態などを理由に一般的ながん保険に入るのが難しい場合は、引受基準緩和型や無選択型のがん保険に入る方法もあります。

がん保険の審査基準は保険によって異なります。この記事を参考に、自分にあったがん保険を選びましょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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